水温が高いと富山湾に入ってこない?
瀬戸さん:
「ウマヅラハギは冬季に水温が低下すると、富山湾に南下、寒さを避けるために回遊をして、水温があったかく春になると北上しているんじゃないかなということが考えられました」

今回の調査でウマヅラハギは水温が低くなると、寒さを避けるために富山湾に南下。水温が暖かい春に北上する傾向が見えてきました。


しかし。
瀬戸さん:
「ウマヅラハギは寒さを避けるために、富山湾に南下してきていると考えたんですけど、ただしウマヅラハギは水温に弱い魚じゃない、割と強い魚なんですよ。寒さがそれほどでもない年、(冬でも)温かい水温のときは、わざわざ富山に南下しなくてもいいんじゃないか、その場で冬を越すんじゃないかと考えて、1月上旬の能登半島東側海域の水温が高いと富山湾への南下回遊がおきにくくなるんじゃないか」


瀬戸さんは「新潟県の沖合など能登半島東側海域の水温が高いままだとウマヅラハギはわざわざ富山湾に南下してこない」と推測。その生態が不漁の要因ではないかとみています。

また水温と泳ぐ深さの関係についても電子タグをつけたウマヅラハギから新たにわかりました。
瀬戸さん:
「氷見市沖で捕まったウマヅラハギについて、遊泳深度は赤色の線で、水温を青で示しています。最初のうちは広い水深帯で泳いでいたんですけど、水温が11℃を下回る2月中頃から4月中頃までの約2か月間くらい、水深100メートル前後で滞留、ここにとどまったんじゃないかなという遊泳パターンが電子タグに記録されています」

5月2日に氷見市沖で捕まったウマヅラハギの電子タグのデータを見ると、比較的、水温が高い時期は、幅広い水深で活発に泳いでいるのに対して水温が11度を下回ると水深100メートル前後の深い場所でとどまっていたことがわかりました。


瀬戸さん:
「深度100メートル前後で滞留したということで、ウマヅラハギは水温11度を下回ると深場で越冬しているということが示唆されております」