『心のレストランの役目は美味しいと思って通ってくるお客を増やすこと』オーケストラ・アンサンブル金沢のアーティスティック・リーダーで指揮者の広上淳一さんは来季への抱負をこう語っています。

広上さんは3月21日に金沢、3月22日に東京で開かれるシーズン最後の定期公演を前にモーツアルトのヴァイオリン協奏曲4番で共演する米元響子さんと石川県立音楽堂で記者会見を開きました。

会見する米元響子さんと広上淳一マエストロ

定期演奏会で演奏するシューベルトの交響曲5番について広上さんは、『若い頃、レナード・バーンスタインのアシスタントとして、アムステルダム・コンセルトヘボウのリハーサルを聞いたのが初めてだった。2楽章を聞いてこんなに美し曲が世の中にあるのか?と感動した曲』と語りました。

また同じ日のプログラムに載せるベートーヴェンの交響曲2番については『故・岩城宏之がウィーンフィルの本拠地=ムジークフェラインザールでアンサンブル金沢と演奏した曲。シューベルトはバースタインへのオマージュ、ベートーヴェンは岩城へのオマージュ』と2人の偉大な師に敬意を表しました。

シューベルト、ベートーヴェンはバーンスタイ、岩城宏之へのオマージュ



ことし9月から始まるアンサンブル金沢の新シーズンでは、カルメン組曲(ビゼー=シチェドリン編)、武満作品などアンサンブル金沢と馴染みの深い作品が並ぶほか、ピヒラー、オノフリ、井上道義、またベートヴェンの第九を指揮するミンコフスキーなど、ゆかりの指揮者が登場します。

オーケストラを「こころのレストラン」と呼ぶ広上さんは『音の食べ物をこしらえる厨房がオーケストラ。どんなに練習して良い料理を作ったって「美味しい」と言ってくれるお客がいなかったら意味がない。そんなお客を増やすのが僕たちの務め』と語ります。

広上淳一(ひろかみ・じゅんいち):東京音大指揮科卒業。1984年、26歳でキリル・コンドラシン国際青年指揮者コンクールで優勝。以来、フランス国立管、モントリオール響、イスラエル・フィルなどメジャー・オーケストラと客演。国内では2008年から2022年まで京都市響常任指揮者、2022年9月からアンサンブル金沢アーティスティック・リーダーに。記者だった父親の転勤で富山に住んだこともあり、北陸に所縁が深い。