今年で発生から12年となった東日本大震災は、死者、行方不明者、震災関連死をあわせておよそ2万2000人ですが、あの時、被災地の支援に駆けつけてくれた国の1つがトルコでした。政府の救助チームが東北に数週間入って救助活動を行ったほか、さまざまな支援物資も届けてくれました。
そのトルコは、隣国シリアと共に、2月6日に発生した大地震で大きな被害を受けています。東日本大震災の2倍以上、5万人を超える死者が既に確認されています。今回は、その被災地を支援するため行われたバザーの取材報告です。
「被災地を支援したい」多数の声を受けて開催されたバザー
トルコ・シリア大地震の被災地を支援するバザーは、トルコの布製品などを扱っている、東京都世田谷区羽根木の「針仕事の専門店 WASABI-Elisi(ワサビ・エリシ)」の店先で、2月18日に行われました。当日訪れたお客さんたちにお話を伺いました。

利用客のお話
「元々トルコの食べ物が好きなので、パンを4種類1つずつ頂きました。日本に住んでいるトルコの方を通して支援する形を私はとっていきたいと思っているんです。」
利用客のお話
「今日はピアスとパンとコーヒーと羊羹を買いました。子供とニュースを見てて、大変そうだね、何か助けてあげようかっていう話をして、直接このバザーで渡せるなと思って来ました。子供は4歳になったばっかりです。」
このバザーは元々トルコ製品を扱う「ワサビ・エリシ」に対し、お客さんから「被災地を支援したいけどどうすればいいのか」という問い合わせが多数あったことをきっかけに、店主の赤松千里さんが企画したものです。
当日は店の中も外も多くのお客さんが訪れていました。バザーの品物の多くはトルコ、シリアにゆかりのある物でした。一番人気はトルコのパン。ごまがたっぷり振られたベーグルなど100個が午前中には売り切れてしまいました。シリア産のものでは瓶詰のオリーブ、アーティチョーク、アプリコットジャムなどが販売されました。

義援金はクルド人、シリア難民支援を行う団体へ
このバザーの売り上げと募金を合わせて40万円以上の義援金が集まったそうです。この義援金はどこに渡るのか。赤松さんに聞きました。
「針仕事の専門店 WASABI-Elisi(ワサビ・エリシ)」店主 赤松千里さん
「例えばトルコ政府に対してとか、大きな国際機関ではないところに絞って、自分の基準でなるべく早く、なるべく手が届きにくい方に届くような形の寄付先を二つ選びました。一つは日本クルド文化協会、もう一つはパルシックです。日本クルド文化協会というのは川口にベースがあって、日本に住む3000人ぐらいのクルドの方たちの文化協会です。それからパルシックというのはもう20年近くトルコのシリア難民、レバノンにいるシリア難民を中心に救援活動をしているNPOです。」
一つ目の寄付先は、一般社団法人日本クルド文化協会。クルド人は「国を持たない世界最大の少数民族」とされ、地震があったトルコ南部にも多くのクルド人が暮らしていますが、たびたび迫害されています。
日本にもトルコから逃れてきたクルド人が暮らしていて、そのほとんどは川口市や蕨市など埼玉県南部に住んでいます。その方たちの故郷が地震の影響に遭い、親族や友人が亡くなったり、被災しているというわけです。

今回バザーでは、川口で暮らすクルドの方々が集う「クルド文化教室」で糸を編んで作られたブックマークも出品されました。こちら、トルコのイスラム教の女性が頭を覆うスカーフを縁取るトルコ伝統の「オヤ」の手法が使われたものです。
日本クルド文化協会は集まった義援金を順次、トルコのガジアンテップ県イスラヒエ市の危機管理センターに送り、現地の救援活動に充てられているということです。