みなさま、こんにちは。日本相撲協会の(第62代横綱・大乃国)の芝田山です。現在は親方として弟子の育成、協会では広報部長として大相撲の様々なことを色々な媒体で紹介させて頂いております。ここの場ではみなさまに本場所の前後、定期的に、見どころや展望、総括と大相撲の魅力をお伝えできればと思います。そして、わたくしの得意分野、オススメのスイーツについてもちょっぴりお話させてください。
【大関・貴景勝(26、常磐山)】
直近の4場所は11、10、12、12勝と全て2桁白星。昨年11月の九州場所では阿炎、高安との優勝決定巴戦に敗れた(阿炎が優勝)。1月場所は照ノ富士が休場したため、1人大関に。千秋楽には平幕・琴勝峰との11勝3敗の相星決戦を制し、自身3度目の賜杯を手にしている。また今場所、横綱・照ノ富士は昨年の秋場所の途中休場から4場所連続の休場となった。
押し相撲一本での珍しい綱取りになるか
やっぱり目玉は貴景勝の綱取りです。どんな内容の相撲を取って、どのような成績を挙げるのかが焦点ですよね。押し相撲だけでとにかく四つ相撲がない、押し相撲1本で横綱を目指すのは珍しいです。今の八角理事長(第61代横綱・北勝海)も押し相撲でしたけども、前褌を取って出るという相撲も取ってましたから。貴景勝の押し相撲が完成するのかというところですよね。
(貴景勝の)押し相撲も変化してきています。大関に上ってくる頃は破壊力のある立ち合いから一発の当たりで出足と勢いを活かした強さでの押出でした。最近の立ち合いは破壊力自体、以前ほどではなく、一発目は、まず当たっておいて突き放して相手の出方を見て、攻めていくという感じに変わってきてますね。また、攻め込まれた時に突き落とし”に頼っていては横綱はもちません。
15日間のうちに何番かはあるかもしれませんが。パッと勢いよく出て左右にいなした瞬間に”突き落とし”というのは評価できますが、攻め込まれて来ての”突き落とし”は(土俵に)残ろうとするから、余計に身体に負担が掛かって後ろに下がるから怪我のリスクも高まります。ですから春場所は貴景勝がどのような内容の相撲を取って白星を重ねるかが見どころです。
綱取りには序盤の5日間が大きなカギ
(初日・翔猿、2日目・玉鷲)序盤の5日間は苦戦してもいけないし、苦戦しなくてもいけない、ここが難しいところです。苦戦しちゃうとなかなか勝ち続けるのも難しいのですが、苦戦しないで順調に行き過ぎると中盤戦にエアポケットに入ってコロっと負けちゃうこともあります。しかし、序盤の5日間は絶対にコケる訳にはいきません。後半戦は、本人が上を目指すと言ってる以上、横綱昇進へのプレッシャーが必ず掛かってきますから、ここでどのような精神力を見せられるかです。
12勝と13勝の優勝は大きく違う
やはり、どれくらいの星数で、皆さんが評価して「(横綱に)上げて良いのではないか」という声が出てくるかというところも注目ですよね。どうなんでしょう、優勝となれば、これはもう上げざる得ないのかなって気もしますが、優勝の白星の数がね、どのくらいの数でというところもありますよね。あんまり低かったら、後々に何か不安を残すような状況になるでしょうし。
(12勝と13勝での優勝の差は大きい?)いや、それは大きいですね。12と13は大きいです。今、横綱が照ノ富士、1人しかいないから12勝で上げるって言っても、ちょっと寂しいところがありますよね。
【 春場所番付】
■関脇
若隆影(28 荒汐)、豊昇龍(23 立浪)、霧馬山(26 陸奥)
■小結
若元春(29 荒汐)、琴ノ若(25 佐渡ヶ嶽)、大栄翔(29 追手風)、翔猿(30 追手風)
春場所で次の大関候補は誰が抜きにでるのか、朝乃山、落合は
今の関脇・小結陣が成長してきています。琴ノ若はやっぱり型にはまったら良い相撲を取ってます。この7力士がいかに自分の地位と成績を守って、2桁の白星を挙げられるかが次の大関候補につながっていきます。朝乃山がすぐに幕内に戻って来るとは思いますけど、その間に新しい大関が誕生する可能性もあります。朝乃山は今回は幕内に上がれなかったけど、十両で全勝優勝して復活できるか。史上初めて幕下1場所で十両に上がった落合が、さあどうなる!?と。春場所は話題が豊富にありますので皆さま、ぜひぜひ、大相撲をしっかりとご覧ください。
さて閑話休題、わたくしは知っておられる方が多いかと思われますが”スイーツ親方”との愛称で呼ばれてまして、角界きっての甘党美食家でございます。この場では、ちょっと最近のお気に入りスイーツを取り上げさせて頂きます。
先日、わたしが協会で勤務している広報部の部員へ差し入れした、東京・神田須田町に店舗を構えます、庄之助さんの桜餅です。30年以上にわたりお世話になっていますが、ほんのり桜色のクレープで、こし餡をたっぷり包んでありまして、塩漬の桜の葉を1枚で覆っているところもポイントです。季節的にも良いのではないでしょうか。
■芝田山康(60)プロフィール
第62代横綱・大乃国(本名・青木康)。昭和37年10月9日生まれ、北海道河西郡芽室出身、初土俵は昭和53年春場所、通算成績426勝228敗105休、幕内優勝2回・殊勲賞5回・敢闘賞2回。昭和57年の春場所で十両、58年の春場所で新入幕。新入幕の11月・九州場所で北の湖、千代の富士、隆の里の三横綱を倒す大活躍。59年の春場所では三横綱・三大関を全て破り、殊勲賞・敢闘賞を受賞。60年・名古屋場所後に大関に昇進、62年・夏場所で全勝で初優勝を飾った。62年・秋場所後に横綱に推挙、63年・春場所で2回目の優勝、同年九州場所で”昭和最後の一番”で千代の富士の53連勝に土をつけた。
平成3・名古屋場所、28歳で引退。現役名で年寄りとなり、のちに芝田山を襲名。平成11年6月に芝田山部屋を開いた。