本当の安全保障は「少子化対策」
ーー反撃能力は(政府見解では)相手のミサイル発射前でも、相手の攻撃着手を確認すれば、入って領土を攻撃できるということですよね。岸田総理はこれに関して「相手に攻撃を思いとどまらせる抑止力」なんだということですが。抑止でとどまるのかというのはどうご覧になりますか?
古賀誠元自民党幹事長:
そこはなかなか難しい問題で、だからこそ歴史認識が大事ですよと。それと実際に敵地の領域に撃つわけですから、それに対してのシビリアンコントロールというのはしっかりしておかないと、それだけでは説明ができなくなる。リスクがある、危険性はある、ということだと。
特に財源問題はやっぱり防衛手段・・・5年間で43兆円。今でさえ防衛費というのは我が国は世界9番目ぐらい。それなりの予算を使ってですよ。だからこの43兆円を全部、我が国の安全保障といったときに、軍事力の装備・兵器、そういったものだけで「日本の抑止力」と言うのがいいのかどうかというところが、僕がいろんなところでお話しているときのひとつ焦点にしていまして、むしろ他の分野でも、大切な抑止力という分野があるんじゃないか。何も装備・兵器、俗に言う軍事力。これだけではないと、特に大平先生は「諸力」・・・外交防衛はもちろんだけれども、政治・経済の全ての分野の中で抑止力というのは総合的に備えるべきだと。それは今、問題になってる食料の安全保障だとか、いろんな分野があるだろうと思います。その中でも少子化対策。これは日本の防衛上も非常に大きな問題だと思うのです。80万を切る出生率っていうのは、この日本の国そのものが脅かされるというぐらい僕は危機感を持っている。少子化対策は抑止力の最たる議論の問題点だと思っています。
対中政策 岸田総理は「命がけの政治をやっていただきたい」
ーー防衛力、安全保障に関して我々にとって深刻なのは、安保3文書の中の国家安全保障戦略ですが、そのなかに「中国の対外的な姿勢や軍事動向は、我が国と国際社会の深刻な懸念事項で、これまでにない最大の戦略的挑戦」とあります。アメリカの方からも出てきますけど、2027年までに中国が台湾を攻撃するのではないかと。これをどうご覧になりますか。

古賀誠元自民党幹事長:
その懸念があるということは否定できないと思います。だからこそ、私は日中というのは、非常に大切な外交上の問題だというふうに思うんです。僕はアメリカと日本とは、中国という国に対する立ち位置は全然違うという認識を持ってます。それは一つは地政学的に隣の国が中国だし、経済についてもアメリカ以上の「両国にとってなくてはならない国」になっている。
何よりもですね。もう半世紀前ですけれども、日中共同声明で、日本は中国の主張する、台湾は中国の一部ということを理解し、尊重するということをきちんとうたっているんです。ということは、やはり「中米」と「日中」っていうものの関係は、立ち位置が違うんじゃないかなと僕は思う。だから、日本は外交上そうした懸念があるからこそ、命がけで中国に対して「絶対に武力による会話は許せませんよ」と、何としても話し合いで解決すべきなんです。これを主張し、もし日本でできることは何があるかということをしっかり中国と共同歩調をとるべきだと。何としても武力行使に至る、そういう結果にならないように日本がどう働くかと。これは日本の最大の抑止力。ある意味ではね。だからそこに岸田外交は全てをかけるぐらいの、命がけの政治をやっていただきたいと願っていますね。