東日本大震災からまもなく12年を迎えます。そこで、地震への備えを考えます。
先月、地震に襲われたトルコでは、多くのビルが倒壊し、甚大な被害が出ました。もちろん、トルコとは、建築基準なども異なりますが、国内でも、大地震によりビルが倒壊する危険性が指摘されています。
学校などの公共施設は、耐震化が進む一方、民間の商業ビルやオフィスビルなどは、対策が遅れているのが実情です。
南海トラフ巨大地震のおそれもある中、宮崎県内の民間ビルの現状やビル倒壊のリスクを探りました。
耐えきれないビルは多いと思う
飲食店などが入る宮崎市の5階建てビル。建築されたのは、古い耐震基準だった42年前。

ビルのオーナーに話しを聞くと…
(記者)「今までに耐震診断をしたことはありますか?」
(ビルオーナー 冨山泰正さん)
「診断はないです。(被害想定では)震度6クラスぐらいですよね、この辺。なので、耐えきれないビルは多いと思います」

宮崎県内の現状は
1995年に発生した阪神・淡路大震災。震度7を観測した神戸市内では、「旧耐震基準」のビルの倒壊が相次ぎ、数千棟に上った。
阪神・淡路大震災以降、学校や病院などは「耐震診断」が義務付けられ、県内でも、耐震工事などが進められている。

しかし、民間のビルの多くは、耐震診断は「努力義務」にとどまっている。
県内の現状は、どうなっているのだろうか?県の担当者は…
(記者)
「県として民間の建築物で耐震診断が必要とされる建築物がどのくらいあるか把握していますか?」
(宮崎県建築住宅課・建築指導担当 畑中喜一郎さん)
「民間の建築物について把握するというのはやってないところです。(耐震化を)まだやらないといけない建物はいっぱいあると思う」

県内の民間ビルについては、どの建物が、耐震診断をしているのか危険なのか、詳しい実態は自治体も把握できていないのが実情だ。
ビルの耐震化が遅れたのは
これは、阪神淡路大震災で、途中の階が押しつぶされた神戸市役所の映像。
ほかにも、多くのビルが倒壊したが、地震発生時刻が、まだ午前6時前だったこともあり、犠牲者は住宅に集中した。

こうした背景もあって、住宅に比べ、ビルの耐震化が遅れたと、専門家は指摘する。
(名古屋大学 福和伸夫名誉教授)
「阪神・淡路大震災以降、国や自治体が進めてきたおもな施策は、主として戸建て住宅の耐震化だった。これに対して、経済行為が主体となる民間企業の建物は本当に耐震化が遅れている」
