「移転」という苦渋の決断に街は

移転は、岡山県北で少子化が進み、志願者数が落ち込んだことによる苦渋の決断だといいます。在校生は移転を了承したうえで入学しており、ほとんどの生徒は通学のため倉敷市の寮に入るといいます。

(作陽高校2年生)「ラスト1年、倉敷にというのは寂しいですけど、新たな場所で自分たちが3年生となってみんなを引っ張っていけるというのは楽しみです」

移転を惜しむ声は尽きません。生徒がコロッケを買いに立ち寄る精肉店です。

(山本精肉本店 山本真由美さん)「かなり寂しくなりますね。たくさん自転車でみんな通ってくれていたので。店の前とか商店街も人通りが少ない中で、学生の子どもたちにたくさんパワーをもらっていたので、その子たちがいなくなるのはかなり寂しいです」

商店街で学生服店を営む高校のOBは。

(キングメイト 木本弘隆さん)「寂しい思いはしますよね。『学校がなくなる』ということはね。ですけれども、これも時代の流れかなと思ったりして」

影響は「地元経済」「ローカル線」にも...

津山商工会議所の松田欣也会頭は、「移転は経済への大きな打撃となる」と顔を曇らせます。

(津山商工会議所 松田欣也会頭)「移転の損失は計り知れないものがあると思っています。学校生活での消費支出額は、年間約10億円にものぼるという試算が出ています」

存廃問題が浮上している、岡山県北のローカル線への影響も懸念されています。

(津山商工会議所 松田欣也会頭)「姫新線であったり津山線にも、利用者がさらに減少することになるのではないかなと」

津山商工会議所では、作陽高校に定期で通学する生徒や、週一回ほど鉄道を利用する寮生がいなくなれば、津山駅の朝の利用者およそ400人のうち10パーセントが減少すると試算しています。

(津山商工会議所 松田欣也会頭)「何らかもっと具体的な対策がなかったのかというような点では、大変後悔することも多く残っております」

一つの学校が無くなること…「寂しい」だけでは済まされない、厳しい現実があります。

(キングメイト 木本弘隆さん)「対象者が減るので、我々のような小さな店にはとくにこたえるんじゃないかと思います」

作陽高校の今年度の生徒数は410人。若者たちの流出は津山市に深刻な変化をもたらそうとしています。