「心と身体の性が一致しない」カミングアウトしたアスリート
3年前に発足した、日本初となる女子サッカーのプロリーグ「WEリーグ」です。その開幕宣言には、「強い覚悟の言葉」が込められました。
(WEリーグ 岡島 喜久子 チェア(当時))「日本の『ジェンダー平等』を前に進める覚悟のリーグです。そして『多様な生き方と夢が生まれる社会』を目指して。みんなが主人公になるために、WEリーグがステージになります」

チェアマンの言葉には「多様な生き方」という言葉もありました。女子サッカーWEリーグからは、「LGBTQ+=性的マイノリティ」の人たちを、しっかり受け入れようという姿勢も感じ取れます。
このように、いま日本の女子サッカー界では、「性の多様性」を認めようという動きが加速しています。その中で、「LGBTQ+の当事者であること」を既に公表している選手が岡山県にいます。

なでしこリーグ2部に所属する「岡山湯郷Belle」でキャプテンを務める、横山久美選手。心は男性で、身体は女性という「トランスジェンダー」です。「プロサッカー選手として、堂々とありのままで生きたい」とカミングアウトに至るまでの思いを聞きました。
当時から「なでしこジャパン」という言葉に違和感

(岡山湯郷Belle 横山久美選手)「当時、日本のプロ選手でLGBTを公表している人は誰もいなかったので、誰かがそういう一歩を踏み出さないと」
「例えば『男になりたいからサッカーをやめる』という子がこのまま増えていくんじゃないかな、というのを感じた」
今シーズン、10年ぶりに岡山湯郷Belleに復帰した横山久美選手。日本の女子サッカー界で、心と身体の性が一致していない「トランスジェンダー」を公表しているアスリートの1人です。

横山選手は、高校卒業後に岡山湯郷Belleに入団。フォワードとして2012年には20歳以下の女子W杯への出場や「なでしこジャパン」にも選ばれるなどの活躍を見せました。

しかし、女性の清らかさや美しさをたたえる「やまとなでしこ」からつけられた「なでしこジャパン」という言葉に、横山選手は当時から疑問を感じて来たといいます。
(岡山湯郷Belle 横山久美 選手)「日本代表自体がやっぱり『なでしこジャパン』と言われているので、『女性らしく』とか『女性らしさ』というのを求められているので、なかなか公表しづらかったです」
「その時は公表しようと思っていなかったです。そういう表現がちょっと違うな、というのは自分の中で感じていたので」