■世界に広がる「国防費の増額」
こうした防衛・国防関連の費用については、各国にも大きな変化が広がりました。
ドイツ・ショルツ首相
「今後、GDPの2%以上を毎年、国防費に投じます」
ロシアのウクライナ侵攻直後、ドイツは去年、GDP比1.49%だった国防費を、2%以上に増額することを明言。
ドイツだけでなく、デンマークやスウェーデンなどヨーロッパ各国が、国防費をGDP比2%以上へ増額することを表明したのです。

昨年度、日本の防衛費は、6兆円を突破し過去最大に。また、最新の調査によると、その額は世界9位。これが、GDP比2%となると、アメリカ、中国に次いで世界3位になるという試算もあります。
■敵基地攻撃能力から反撃能力へ
さらに、自民党の提言の中で、大きな注目を集めたのが…
自民党安全保障調査会・小野寺五典会長
「この国を守るために必要な能力を使うということ。『反撃』という言葉、そのための必要な『能力』が1番ストレートに表現できる」
敵のミサイル発射基地などを破壊する、いわゆる敵基地攻撃能力を、「反撃能力」と名称変更した上で、保有することを求めたのです。

さらに提言では、「反撃能力」の対象範囲について「ミサイル基地に限定されるものではない」とし、「指揮統制機能等も含む」としました。これに対し野党からは…
立憲民主党・泉健太代表
「『指揮統制機能等』とは何を指すのか、日本でいうところの首相官邸のようなところも該当するのか、しないのか。憲法に違反をするということになりかねないと思う」
これまで政府は、「敵基地攻撃能力」について、憲法が認める自衛の範囲、専守防衛から逸脱しておらず、法理論上は持てるとしてきました。
ところが、今回の「反撃能力」が、相手国のミサイル基地だけでなく、中枢部も攻撃できるとするなら、「専守防衛」の範囲を超えているのでは、といった議論も起きています。

ロシアのウクライナ侵攻に加え、東アジアの緊張を背景に、高まりを見せる日本の防衛論議。岸田総理は…
岸田総理
「あらゆる選択肢を排除せず、現実的に検討を行い、防衛力は抜本的に強化していかなければならない」
5月3日の憲法記念日。今年は憲法と安全保障を巡ってどんな議論が起きるのでしょうか。
(サンデーモーニング2022年5月1日放送より)