「開示のルール無く、弁護団の負担大きい」

―――現状はどうなっているか。今回の阪原さんのケースのように、弁護団は冤罪を立証したいとして、検察が持つ証拠を開示してもらい鑑定することで、「こういった点がおかしくないですか」と立証したいわけですが、証拠を持っている検察は「冤罪と言えるような新しい証拠がないと、証拠開示できませんよ」と、矛盾が生じているということなんです。新証拠が欲しいから開示を求めるのに対し、新証拠がないと開示しない、食い違っていますね。

西愛礼弁護士: はい。まさに本末転倒な状況になっていると思っています。まず刑事訴訟法の条文上に開示のルールがないということで、そもそも開示については法的な根拠はありませんという形で、基本的にはその開示しないと。ただ、その中でも裁判所の方で、「いやこの事件はきちんと開示をして真相を明らかにしなさい」といったことを職権で促して証拠が開示される場合があります。

―――今回は、引当捜査の写真ネガが開示されましたが、これはどんな経緯で。

 そもそも大津地裁に再審請求するときに、いろんな鑑定や実験を弁護団の方々がしていて、ある程度「この事件ってのは冤罪だよね」という疑いを立証していました。そういうことを踏まえて裁判所が証拠の開示を促したということになります。

―――やっぱり弁護団の負担というのは非常に大きいですよね?

はい、おっしゃる通りです。