異例中の異例「戦後初の死後再審」か
―――今回のケース、もうひとつの特徴は「死後再審」です。亡くなった後に再審を請求しているというものです。検察が最高裁に特別抗告をせずに、今回の判決が決定となれば、戦後に発生し死刑や無期懲役が確定した事件では初めてとなります。西さんによりますと、死後再審には、「請求人が途絶える問題」があるのですね。
西愛礼弁護士: 死後再審の請求というのは、その方の配偶者、兄弟姉妹、直系親族に限られます。なので長期間身体拘束されてしまってると請求人が途絶えてしまう可能性はありますし。そもそも最初の死後再審を請求すると「あなたの身内に犯罪者がいたのか」と周りから見られてしまうリスクがあって、なかなか勇気を出すのが難しいという問題もあります。
―――では裁判所にとっての「再審」とは。元裁判官の西弁護士によると、「一審から最高裁まで10人以上の裁判官が《間違えた》と宣言すること」で、これが大きなプレッシャーだということなんですね。
事件が一審、高裁、最高裁とあるわけで、多くの裁判官が関与していて、プレッシャーを感じる。それは否定できないと思います。また今回のような事件では、もう取り返しがつかない「死後再審」という状況になっていて、何十人も冤罪で苦しんだ人がいるかもしれないと、そこはやはり大きなプレッシャーになることは否定できないと思っています。ただそれが裁判官の仕事もありますので、やるからには慎重に審議をして時間をかけて何が本当か、真実を見極めるという手続きが行うことになります。
―――日野町事件も1984年の発生ですから、本当に長い時間がかかっているということになります。
はい、おっしゃる通りで審理は慎重にやる分時間がかかってしまう。この事件だけではなくて、どんな再審事件でも同じようにとても時間かかってしまってるという問題があります。
―――高裁で再審が認められましたが、検察は今後5日以内に最高裁に特別抗告するかどうかを判断するということです。(2023年2月27日放送 MBSテレビ「よんチャンTV」より)














