「性自認も性的指向も自分では選べないんです」
制度や法律で守られないということは、社会的に非常に脆弱な存在になってしまうようです。実際、G7で法整備がされていないのは日本だけで、差別の解消を「もう待てない」というのがLGBTQ当事者にとっての切実な思いです。
2021年の札幌地裁。同性婚を認めることを求めた訴訟の判決で、「(性的指向は)人の意思によって、選択・変更しうるものではない」と認定しました。性的指向、性自認は自分の意思や医療的な対処で変えられるものではない、という前提を理解しなければ、LGBTQ当事者の苦悩を想像することは難しいかもしれません。
時枝さんは「性的マイノリティに生まれていなかったら違った人生を歩いていたはず。でも、性自認も性的指向も自分では選べないんです」と胸の内を明かしました。
一連の会合で聞かれたLGBTQ当事者の声からは、荒井元秘書官の発言や岸田総理の答弁に深く傷ついていることと、自分たちの置かれている状況を理解されないことへの悲痛な思いが感じられました。まず差別を禁じて、それに並行して世の中の理解を得ていく、という道のりをLGBTQ当事者たちは望んでいます。