低関税の輸入枠「カレント・アクセス」の政府の見解に専門家「もう限界」

そして、2月14日…

喜入友浩キャスター
「参議院議員会館には、全国各地から酪農家たちが集まり、政府に対策を求める集会が行われています」

酪農家 吉田雅章さん
「牛乳は止めたくても止められないんです。水じゃないんです。蛇口ひねって止まるようなものじゃないんです」

酪農家や畜産農家ら150人以上が集まりました。

北海道の酪農家・川口太一さん。3月から生乳を減産するために、牛を処分すれば1頭につき15万円支給されますが、複雑な胸をうちを明かします。

酪農家 川口太一さん
「産まれた子牛を、その日まだ湯気が出ている段階で判断しなきゃいけない」

―― 一つの命を短期間で判断しないといけない?

「そうですよ。親牛がなめる、それを引き取る。(涙をこらえながら)それを引き離す現場の気持ちって言うのは、伝えて欲しいよね」

現場で「生産抑制」が行われる一方で、「カレント・アクセス」と呼ばれる農産物の自由貿易を推進するために設けられた低関税での輸入枠があります。日本は生乳換算で、13万7000トンという上限枠いっぱいの量を輸入し続けているのです。
この状況に、政府の見解は…

野村哲郎 農林水産大臣
「カレント・アクセスについて、国家貿易として国が約束したものを簡単に削減するということになると、他国からクレームが来る、あるいはペナルティをかせられていく恐れもあると思います」

こうした政府の方針に、集会に参加した専門家は疑問を呈しています。

東京大学大学院(農業経済学) 鈴木宣弘教授
「カレント・アクセスは全く輸入義務ではない。国際法上もどこにも書いていない。輸入しなきゃいけないんだっていう説明もしていましたが、それも全く根拠がありません。この輸入を止める。そして国内の酪農家さんと国内の消費者を守るために、政策転換する必要がある。もう限界だと思います」

バター不足やコロナ…国の政策に翻弄される酪農家

山本恵里伽キャスター:
鈴木教授によりますと、「2014年にバターが不足した時に、国の政策で生乳を増産した。しかし、コロナで在庫が増えたから生乳を搾るな、となった。これは国の政策がもたらした結果」だと話しています。

小川彩佳キャスター:
喜入キャスターの問いかけに涙ながらに答えていた酪農家の方もいらっしゃいましたが、エサ代の高騰などだけでなく、国の政策に翻弄されてきた経緯があるわけですから、国の政策を持って救済する方法が何かないのかと考えてしまいますね。