簡易査定で「46~53億円相当」の価値認められるも”10年塩漬け”

 元不動産業者の岩谷良平衆院議員。現地の視察中にも「売却した時の資産価値と(土地を活用する)行政ニーズの比較検討はするのか」などと財務省の担当者に矢継ぎ早に質問をしていた。

 その岩谷議員が路線価などをもとに簡易的に査定したところ「若松住宅」6400㎡の土地は、46億9257万円~53億4953万円の価値があるとの結果だった。まさに“出物”であり「非常に希少な土地。民間不動産会社で言うとすぐにでも買いたい、開発させてくれというはず」と指摘した。

 この土地には戦時中に人骨を廃棄したとの指摘があり、発掘調査をしたり土壌調査をしたりする必要性があったと財務省は説明するが、それでも10年の長きにわたり都心の一等地を“塩漬け”にしたのは理解に苦しむところだ。

 岩谷議員は財政改革の一環として公有地の売却を進めてきた大阪府の例を引き合いに「我々は、増税せずに売るしかなったわけですよね。地方はどこでも自治体はタオルを絞って一滴を生み出すようなことをやっている」などと述べ、国に危機感がないと強調した。

 ちなみに新宿区の当該の土地は、大阪で言えば「キタ」や「ミナミ」に相当するというが、こんな“出物”はもはや存在しないという。

 同様の公務員住宅や行政目的のなくなった普通財産で使用されていない国有地が東京23区内で119件、台帳価格だけでも2500億円を超えるという。(立憲民主党・渡辺創議員)

増税の議論をする前に、廃墟のようにたたずむ公有財産の処理は喫緊の課題だろう。

毎日放送報道情報局 解説委員 三澤肇