東京都新宿区戸山。都心の閑静な住宅街で、近辺には「夏目坂」などの地名が残り、かの文豪・夏目漱石が育った地域でもある。この都心一等地の小路を抜けると、見えてくるのが地上12階建て、87戸が入る国家公務員宿舎「若松住宅」だ。

 2月7日「立憲民主党」と「日本維新の会」の改革プロジェクトチームの国会議員が若松住宅を合同視察で訪れた。敷地内に足を踏み入れると、駐輪場にはツタが巻き付き、玄関には板が打ち付けられ「立入禁止・牛込警察署」の紙が貼られている。鉄柵は錆びて根本から倒れ、壁には「The Great Artist」(偉大な芸術家?)などと落書きもされており、まさに「廃墟」の様相を呈していた。

若松住宅は2011年に全戸が退去した後、時の民主党政権下で廃止が決まったが、その後の活用は全く決まっていない。視察を担当した立憲民主党の渡辺創衆院議員は「国民に新たな負担を求めようとしている政権が(中略)売却であったり貸出であったり、しっかりと国民のみなさんの負担を減らすという努力を行うことが必要だと思っている」と視察の意義を強調した。

この視察に参加した日本維新の会の岩谷良平衆院議員。実は大阪でビル開発を手掛ける不動産会社を経営するなどした実業家で、物件を見る目は“ピカ一”と言える。現場に向かう車内で「相当な資産価値があるはずだ」と目を輝かせていたが…。