岸田文雄総理大臣は2月1日の衆院予算委員会で、自民党・平将明衆院議員の質問に対し、《年収の壁》について「制度を見直す。どんな対応ができるのか、幅広く対応策を検討する」と答弁しました。10年以上前から課題とされてきた、いわゆる「年収の壁」。ここにきて、ようやく本格的に俎上に載せたと言ってもいいでしょう。
答弁からさかのぼること4か月前、日本記者クラブで、野村総合研究所の武田佳奈研究員らが記者会見をしました。そこで示されたのは、「パートタイマーの労働時間が減り続けている実態」と、8割近い人が「働き損」にならないなら、労働時間を増やす意欲を持っているという調査結果でした。
そもそも「年収の壁」とは何なのでしょうか?配偶者のいるパートタイム労働者が年収100万円を超えると、段階的に「社会保険料」の負担が増え、配偶者の「家族手当」の支給が停止、「所得税」や「住民税」の負担などが発生し、結果として世帯収入が減ってしまうという現象が起きます。
こうした負担増を防ごうと、収入が100万円以下になるよう就業調整を行うことが「年収の壁」と呼ばれているのです。現段階では、年収100万円の人と138万円の人の世帯収入は同じになる計算、つまり年収137万円までの人には「働き損」が発生する仕組みになってしまっているのです。














