商業施設で最近急増しているのが、ガチャガチャ回して楽しむカプセルトイの専門店だ。昔ながらのアナログマシンでありながら集客アップにつながっているという。その理由を取材した。

10年で市場規模1.7倍。専門店急増、ご当地カプセルトイも大ヒット

東京・池袋にある日本最大級のカプセルトイの専門店には約3000台のカプセルトイが設置されている。一喜一憂しているのは大人客だ。

ガシャポンのデパート池袋総本店 鶴田友亮店長:
女性の来店が多いと感じていて、特に20代から30代ぐらいの女性客が6、7割ぐらいで一番多いボリュームゾーンです。

10年前に約260億円だったカプセルトイの市場規模は2021年度には約450億円と1.7倍にも膨れ上がっている。1965年に登場したカプセルトイ。大ヒットしたのが1983年に発売されたキン肉マン消しゴム。90年代には細部までリアルに再現されたウルトラマンなどのフィギュアが爆発的にヒットした。

2012年、カプセルトイに革命をもたらしたアイテムが登場した。「コップのフチ子」だ。これまでカプセルトイとは縁のなかった大人の女性たちの間で大ブームとなった。コップのフチ子を製作し、今でも数々のヒット商品を生み出しているのが「キタンクラブ」。2021年度は107種類のカプセルトイを出荷し、年商は約17億円だ。

株式会社キタンクラブ 主宰 古谷大貫氏:
(コップのフチ子のヒットについて)正直驚きました。広がり方というか、女の子が携帯を使ってコミュニケーションを取り始めたのがその時期で、そこと合致したのです。(トータルで)2000万個か2500万個だったか。

数多くのヒット作を作り出しているキタンクラブは、自社製品に対して、あることにこだわりを持っているという。

キタンクラブ 古谷大貫氏:
驚かせたい。クオリティは細部に宿っています。彩色一つとっても細かいところ、裏側を塗らないメーカーもいますが、裏も塗る。置いた時に見えないところも塗っていくとか、そういうところの細かさですかね。

2022年に発売したおにぎりの形をしたケースに定番の具がデザインされた指輪が入った「おにぎりん具」は、現在まで260万個以上の大ヒット商品となっている。

急成長しているカプセルトイ市場について日本ガチャガチャ協会に聞いた。

日本ガチャガチャ協会 小野尾勝彦代表理事:
カプセルトイを販売する専門店が非常に増えました。コロナの影響もありながら毎年増え続けて、今500店舗以上あると言われています。店舗の空間演出やデザインもきれいなので非常に入りやすい環境の中、商品を購入するケースが多くなりました。アナログのマシンなので電気を使わない。効率良い店舗運営が可能なので、専門店が増えています。

市場拡大の要因はこれまでの店舗の軒先にあるカプセルトイに加え、カプセルトイだけを扱う専門店が急増したことだという。電気代のほか細かな接客もないことから、人件費も節約できるという。

埼玉県さいたま市、大宮駅に隣接する商業施設「大宮アルシェ」はカプセルトイの専門店を誘致しただけではなく、自らご当地カプセルトイを企画。地元大宮の人にしかわからないディープなアイテムが受け、地域限定アイテムとしては異例の大ヒットとなった。ご当地カプセルトイ「大宮ガチャタマ」のアイテムは、大宮ナポリタンで有名な「伯爵邸」、古き良き昭和の雰囲気が漂う大衆食堂「多万里」、2006年に閉店したボウリング場「ハタボウル」の看板など、地元の人にしかわからないものばかりだ。

株式会社アルシェ 中島祥雄社長:
もともとは2020年3月ごろ、ちょうどコロナの状況が始まって、イベントなど集客につながるような企画が一切できなくなり、そういう中でなにか面白いことをやろうよという話になりました。

発売当時、用意していた1000個が2日で完売。これまでに7万個を売り上げる大ヒットとなった。その大宮ガチャタマを買い求めにくるのは大宮在住の人たちだけではないと言う。

株式会社アルシェ 中島祥雄社長:
元々大宮に住んでいて遠くからわざわざ回しに来てくれたりというのがあって、観光ではない意味で我々も予測してなかった現象です。

大宮でのヒットをきっかけに今では他の地域のご当地アイテムを作成するまでになった。

株式会社アルシェ 中島祥雄社長:
まず大宮の一番のライバルである浦和をいじらせていただいて、そうしたら大宮と浦和に挟まれた与野はどうしたという話になり、与野をやらせていただいて。

さらに川越や東京都の東銀座、そして静岡県の沼津、宮城県の仙台まで広がり、トータル出荷数は実に17万個に達したという。