大規模な水害となった2022年の台風15号で「保険に助けられた」という被災者がいます。一体、どんな保険なのでしょうか、自分の保険を見直すきっかけになるかもしれません。
<松木翼記者>
「静岡市清水区の巴川です。もともと老朽化によって通行止めとなっていた歩行者用の橋なんですが、台風15号から4カ月たった今も流木がそのままになっています。当時、巴川の水位がこの橋を優に超える高さまで上がっていたことが分かります」
2022年9月に静岡県内を襲った台風15号。1時間雨量では49年前の七夕豪雨を超える107ミリを観測し、巴川が氾濫。静岡市内で4400棟以上が床上浸水被害に遭いました。
静岡市清水区の一軒家に住む都築さんの家も浸水しました。リビングにキッチン、和室、玄関。1階はすべて水浸しになりました。最大で床上70cmほどまで浸水したといいます。
あの日から4か月。いまの自宅は、どうなっているかというと…。
<都築美樹さん>
Q.だいぶ綺麗になってますね?
「年末にリフォームが終わりました。このドアも壁紙もキッチンも全部閉まらなくなったので新しくしました。床も替えました」
Q.1階部分は替えていない所がないくらい?
「そうですね、天井を替えていないくらいです」
カビの繁殖が予想される床や壁、水でふやけて閉まらなくなったドアやキッチンなど、天井と照明以外のほぼ全てをリフォームせざるをえませんでした。
<都築美樹さん>
Q.すごくリフォーム費用がかかったと思うが、どのくらい?
「900万円くらい」
見積もり額を見て驚いたというリフォーム費用でしたが、都築さんは市の補助金と10年前に加入した保険で全て賄うことができたといいます。
<都築美樹さん>
「家を建てて2~3年経った時に、家の前に川があるのでなんとなく心配になって水害の特約をつけた。助かりました。入ってて良かったなと思います」
都築さんを助けたのは、建物にかけていた火災保険の「水災補償」です。台風や暴風雨による土砂崩れや床上浸水で建物が損害を受けた場合に修繕費を補償します。家財にもかけていれば家具や家電も補償されます。
台風15号で被災者の対応にあたった静岡市内の保険代理店です。火災保険について正しく理解していない人は多いと言います。
<エフケイ 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 小泉真佐也さん>
「火災保険と聞くと『火事しか出ないんじゃないの』という問い合わせがありますが、加入されているプランによっては水災、雪災、風災も対応しています。(床上浸水に対しては)しっかりと水災が補償されているプランに入っていることが大事」
2021年度の調査では、全国の火災保険契約件数のうち、水災補償の附帯率は65.4%。約3割が水災補償をつけていません。つけない理由には、自宅は水害の被害を受けないと思う(61%)、年間1~2万円ほど上乗せとなる保険料が高い(17%)、水災補償を知らなかった(14%)、などがあるようです。
<エフケイ 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 小泉真佐也さん>
Q.業界内で台風15号で保険がおりなかったケースはあった?
「やはり水災補償に入っていなくて自分のキャッシュから何百万円も払ったという人はいました。市町村が発行するハザードマップで自分の地域の状況を把握して、そのリスクにあった保険を相談するのが第一歩だと思います」
台風15号では車が水没する被害も相次ぎましたが、水没による修理や買い替えの費用は車両保険である程度補償することができます。何年、何十年に一度の災害が起きたこのタイミングで、自分の保険を見直すことも大事かもしれません。
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