大事なのは正確性のための厳格さ?それとも継続させる柔軟性?
広島市 国際平和推進部 稲田亜由美 被爆体験継承課長
「自分が託す人っていうのは自分で決めたいと。それを第三者にゆだねることについて、いろんな意見があります。この被爆体験を引き継ぎたいっていう思いは、わたしたちもしっかり受け止めているんです。被爆体験伝承のこの制度の中では、本人から託されるというのが大事だと思っておりまして、じゃあ、それ以外で何ができるかっていうところが、みなさんと今からしっかり考えていきたいと思っています」
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― 研修生の熱い思いの一方で、被爆者固有の体験や思いを「伝承者」として語り継ぐということを本人以外に認められるのか…? 確かに同じことでも言葉の選び方ひとつで印象が変わります。安易に託すことは難しいかもしれません。
とはいえ、せっかく深く関わって貴重な体験を学んだのに、それが無になるのはあまりにも惜しい…。託した被爆者の方の思いも活かされないのではないでしょうか?
長崎市の養成する「交流証言者」は、被爆者が亡くなった後も市などが講話内容などを確認したうえで「交流証言者」としての活動が認められることになります。広島市でも例えば、あらかじめ被爆者本人をよく知る家族やすでに活動している「伝承者」などの中から判断を託す相手を決めておくということはできないのでしょうか?
高齢になれば寿命も認知機能の問題も出てくきます。厳密に引き継ぐことと、柔軟に継続させること、それを包括する対応が急がれます。
広島市は、来月にも伝承者や研修生と意見交換会を開くということです。