「ひまわり」の衛星画像では、日本海側に、雪をもたらす「すじ状の雲」が広がっていますが、その近くには、大雪の原因とされる「JPCZ=日本海寒帯気団収束帯」が確認できます。

大雪や異常な寒波をもたらした今回の状況について、専門家は…

九州大学応用力学研究所・森正人助教(気候変動)「今回の寒波は、普段北極の上空にとどまっている寒気が日本付近まで南下したことが原因です」

通常、北極上空では偏西風が北極を取り巻くように周っており、寒気は極地に留まっています。

ところが、この偏西風が蛇行したため寒気の一部がちぎれて日本付近にまで南下したと考えられています。

温暖化が関係?

「偏西風の蛇行」については、ラニーニャ現象などいくつかの要因が複合的に作用した結果と考えられるとした上で…

森正人助教(気候変動)「それに加えて、“地球温暖化”によって、現在北極域では海氷が非常に解けています。そうすると大気の流れが変わります。このことが偏西風の蛇行を助けて、寒気をもたらした可能性があります」

「地球温暖化」が、逆に「寒さ」をもたらす可能性があるという、一見矛盾した状況。こうした事態に見舞われているのは日本だけではありません。

世界でも寒波が…

まつげまで凍る寒さ。お湯を空中に投げると一瞬にして霧状の結晶に。

中国の黒竜江省・漠河市では、22日朝、市の記録で史上最低となる氷点下53度を記録。

またアメリカでは2022年12月、猛烈な寒波に見舞われ、全米で60人以上が死亡したといいます。

2021年、アメリカの科学誌「サイエンス」は、北極の温暖化で大気の循環が乱れ、こうした寒波が発生している可能性があるという主旨の論文を掲載しています。

極端な気象

世界各地で、気象が「極端」に向かいつつある状況に専門家は…

森正人助教(気候変動)「温暖化が今後より進行すると、より極端な気象が発生しやすくなる。極端な寒波は温暖化が進んだ将来には、頻度が減少すると予測されています。ところが温暖化の過渡期である現在のような気候では、温暖化が、逆にその寒波の発生を助ける場合もあるという見方もある」