「ボス」と呼ばれるも…なぜ指示役2人は残されたのか?

当時、収容所にいたメンバーと交際していた女性は、「中で強盗などが行われている」と日本の警察に通報するよう、交際相手から電話で頼まれた。

収容されていたメンバーと交際していた女性
「日本の仲間に命令して、中に人がいても強盗に入って殴って脅してキャッシュカードを奪ったり。これを警察に言うようにいわれました」

だが、「証拠が無い」と対応してもらえなかったという。

報道特集は2020年12月、収容所内から日本に向けて特殊詐欺が行われていたことなどを放送。その半年後、渡辺優樹容疑者が収容された。
当時のメンバーによると、渡辺容疑者は「ボス」と呼ばれ、今村容疑者の地元・札幌での友人だという。

2022年7月、36人のメンバー全員が強制送還を終えた。だが、指示役の2人は収容所内に残された。なぜなのか?

内部告発者の韓国人
「日本に帰りたくないので、フィリピンで知人に告訴をしてもらうのです。告訴されるとその事件が解決するまでは、強制送還されません」今村容疑者・渡邊容疑者を指示役とするグループの仲間は、収容所の外でも犯罪行為をしていた。

フィリピン在住の日本人男性は2年前、メンバーに騙されて電話の「かけ子」をやらされたが、すきを見て1週間後に逃走したという。
その際、そこで渡された電話をかける対象者のリストと、騙し文句のマニュアルを持ち出していた。そこには…

“かけ子”をさせられた男性
「犯行グループ18名逮捕したんですけど、その中の3人が銀行の職員」

男性は指示された内容をノートに書きとっていた。

“かけ子”をさせられた男性
「ちゃんと人数から何から全部、こう言え、ああ言えというのがある」

グループの拠点は、メンバーの1人が所有していたマニラにあるコンドミニアムの12階だった。

“かけ子”をさせられた男性
「ここが入口だとすると入ってここがリビングですわ。それでここがキッチン」

このグループのリーダーはソファにいる男と女。男が日本で被害者のもとをたずねていく仲間との連絡役をしていた。

“かけ子”をさせられた男性
「『今、何番地の何番地。ここで行ったら?』と。携帯は常にあいたまま、切らないで」

ーーずっとつながりっぱなし?

「そうです」

ーーそのひとたちが被害者と接触しているところも?

「ええ」

ーーずっと指示を出している?

「そうです。お客が不審がったりなんかしたら、すぐこいつ(男)がそこはいいから逃げろと指示を出す」

さらにその際、こんな言葉を何度も耳にしたという。

“かけ子”をさせられた男性
「すぐ“叩け”とかなんとか言ってました。(キャッシュ)カード盗ったら、すぐ“叩け”と」

ーー『叩く』『叩き』というのは、『強盗をする』という意味。

「本当におそろしい。ターゲットにしているのは全部年寄りですからね」