「一般医療機器」は、国が効き目を保証した印ではない
リカバリーウェアには、「一般医療機器」と書かれた商品があります。着ると本当に疲れが取れるのでしょうか。
正直に言うと、決着はついていません。普通の服と条件をそろえて比べた論文はあり、一部の睡眠の指標には差が出ています。ただ、参加者が十数人の小さな研究が中心で、誰にでも疲労回復の作用がある、とまでは言えないのが現状です。
では、なぜ「一般医療機器」と書けるのか。一般医療機器は、医療機器の中でも体へのリスクがいちばん低いグループで、国の審査を受けて承認をもらうのではなく、会社が国に届け出る仕組みです。
とはいえ、何もしなくていいわけではありません。リカバリーウェアには2022年に専用の区分ができ、届け出る前に試験をすることが求められています。同じ人にこの服と普通の布の服の両方を着てもらい、血の流れの巡り具合がどれくらい良くなるかを比べる試験です。
そのデータをもとに、疲れやこりへの作用を専門家が評価します。そこまで済ませて届け出れば、「血行を促進して疲労を回復する」と書いてよい。厚生労働省が2025年8月に改訂した質疑応答集に、そう定められています。
つまり、この表示は「普通の服より血の流れが良くなることを、試験で確かめて届け出ました」という印です。「誰が着ても疲れが取れると、国が保証しました」という印ではありません。
買っているのは、効果だけではない
それでも、これだけ売れています。買っている人は、体への作用とは別のものも一緒に買っているのではないでしょうか。手がかりになるのが、TENTIALの自社通販で注文の4割近くが贈り物だという数字です。ラッピングを一緒に頼んだ注文からの推定ですが、同社が2026年4月に公開した第2四半期の決算説明資料によると、4割近くが誰かのために買われています。
ここで思い出すのが、神社の御守りです。NHKが1973年から続けている調査では、2013年の時点で御守りや縁起物を身の回りに置いている人はおよそ3人に1人。ところが、その力を信じている人はおよそ6人に1人でした。持っている人の半分ほどは、信じているとは答えていないのです。この構図は1970年代から変わっていません。2006年に社会心理学研究に載った、学生に御守りについて聞いた研究では、御守りを持つ意味は不思議な力より、贈ってくれた人の気遣いを思い出すことにありました。
日本人が急にスピリチュアルになった、という話ではありません。NHK放送文化研究所が2019年にまとめた調査では、神仏に心のよりどころを求める人は、1998年から2018年までの20年で減っています。自分や大切な人の無事を願う気持ちをモノに込めて買う、という昔ながらの買い方を、いまは企業が服の形にして売っています。買っているのは、効果への期待と、安心と、気遣いです。














