トップだった自分とのギャップ 「恥ずかしかった」銅メダルからの再起
かつて世界トップだった自分と、復帰後に勝てなくなった現実。残酷なまでのギャップが彼女を苦しめた。
「泳げるようになった時の方が、正直精神的にはきつかったです。自分の思うようなタイムが出なくて、もどかしさがすごくあって。毎日練習帰り、一人で車を運転しながら泣いて家に帰るのが日常でした」
限界に抗い続け、迎えた2023年の杭州アジア大会。池江は50mバタフライで見事に銅メダルを獲得し、多くの人々がその復活劇を称賛した。しかし、本人の思いは全く異なっていた。
二宮に杭州大会の心境を尋ねられると、池江は苦笑いを浮かべながら語った。

「すごく恥ずかしい気持ちで大会に臨んだんですよね。やっぱり前回大会でMVPを獲得していて、病気して戻ってきた選手で、結果メダル1個(3位)。これだけ注目されてこの結果で、恥ずかしいみたいな。正直それがあの時のベストだったと思うし、それ以上の結果はなかったと思うんですけど、だけどすごく恥ずかしいという気持ちしかなかったですね」
悔しさを胸に、池江はこの杭州大会以降、100mバタフライのタイムを復帰後初戦(59秒44)から復帰後自己ベスト(57秒03)まで半年間でタイムを2秒近く縮めるなど、血の滲むような努力を積み重ねてきた。
そして2026年、自国開催となる3度目のアジア大会を迎えた。
「正直、自国開催ということよりも『アジア大会』という名称の方が自分の気持ち的にはグッとくる部分はあって。もちろんたくさんの日本の方が応援に来てくれると思うので、自分のお世話になっている人とかもみんな観に来られる場所にあるので、自分もその雰囲気を楽しめたらいいなとは思います」
「最後」と決めた大舞台の初戦は23日。困難を乗り越えてきたヒロインが、自身の競技人生に新たなページを刻む。
(TBSテレビ「バース・デイ」2026年9月19日放送より)

















