「外れ」を恐れる心理と「倍速視聴」

映画やドラマにおいて倍速視聴をする若者が増え、短時間で「分かった気にさせる」動画コンテンツが好まれる。なぜ人々は、趣味にまでタイパやコスパを求めるのか。

その背景には、「外れを引きたくない」「流行りに乗り遅れたくない」という現代人特有の心理があると加藤氏は分析する。

時間をかけて“面白くない”とされている作品を見るという“失敗”を恐れるあまり、倍速でささっとあらすじだけを追い、周囲と話題を合わせるための手段となっているのだ。

しかし、映画も劇も小説も本来、単にストーリーや結末を知ることだけが目的ではない。歌舞伎などストーリーはたわいもないのがほとんどだが、劇中のちょっとしたセリフや情景、しぐさなどに浸り、感動することこそに醍醐味がある。だから作家や演出家は、一行の文やひと言のセリフに心血を注ぐ。