生協は1回止まって1週間分、料理宅配は1食

では、同じように届ける費用がかかるなかで、なぜ生協は黒字なのか。生協は1回止まって、1週間分の食品を何十品も渡します。料理の宅配は1回止まって1食か2食分。同じ「家まで届ける」仕事でも、1回の停車で動くお金がまるで違います。

この考え方は、生協の料金表にも組み込まれています。コープデリの東京(コープみらい)では、個人で利用する場合の宅配手数料は通常1回198円ですが、3人以上のグループで指定の1か所にまとめて届けてもらうと無料になります(1回の注文額が一定以上でも無料)。1か所に止まって3世帯分を渡せるなら、その分を値引きする。止まる回数をまとめる仕組みです。黒字と赤字を分ける理由はひとつではありませんが、「一回止まって、いくら売れるか」が、大きな分かれ目になっています。

高島屋は店頭売上の4分の1が外商、セブン-イレブンは移動販売車145台

この見方で並べると、動くお店の顔ぶれが見えやすくなります。高島屋の決算説明資料では、国内百貨店の店頭売上高の26%(2025年度)を外商のお客さんが占めています。担当者が家や会社まで商品を持って行く、お得意さま向けのサービスです(店内での購入も含む割合)。衣料品のしまむらは、介護施設や障害者施設への出張販売を、2024年度の127件から2025年度には281件へ2.2倍に増やしました。

セブン-イレブンは2011年から店の商品を積んだ移動販売車を走らせ、2025年2月末で145台です。阪急阪神百貨店の「走るデパ地下」は、和洋菓子を積んだ車でマンションやオフィスの前に出店し、2026年3月時点で出店した場所は約1,000か所。関西では、お客さんが会計時に距離に応じて1人220円から550円の出張料を払います。軽トラックにスーパーの商品を積んで家の前まで来る移動スーパー「とくし丸」は、お店まで遠くて車が使えない高齢者を主なお客さんに全国で1,200台を超えて走り、お客さんは店頭の値段に1品10円か20円を上乗せして払います。

来てもらう費用は、とくし丸の1品10円のように商品の値段に溶け込むか、走るデパ地下のように出張料として別に払うか、会社や主催者がまとめて払うかのどれかです。どの型でも、移動の費用は誰かの財布から確実に出ています。