今後の利上げ日程は明言せず

記者会見した植田総裁は、「基調的物価は2%に近づきつつあり、政策の局面は変化した」と、利上げの継続を明確に示しましたが、今後の引き締め加速の具体的なペースについては、慎重な言い回しに終始しました。

日本経済にとって1.25%は、1995年以来31年ぶりの金利水準である上に、中東情勢の先行きが不透明なことを考えれば、景気の先行きを慎重にみる必要があるからです。

また、政治的にも、今回は、ベッセント長官という「援軍」もあって、高市政権が利上げを黙認したものの、「リフレ政策」志向の高市総理が、今後の利上げ加速をすんなり認めるかどうかは、依然、見通せないからでしょう。

「リフレ派」2人の審議委員が反対

現に、今回の決定には、審議委員6人のうち、高市政権が新たに任命した、浅田、佐藤の2人の審議委員が、利上げに反対票を投じました。ECB(欧州中央銀行)やアメリカのFRBが揃って利上げを決めた直後の、このタイミングで、敢えて利上げを見送れば、円安の加速や日米間の亀裂など大変な事態になる、と私は思いますが、そんな主張をする審議委員を送り込んだのは、高市政権そのものです。2人の審議委員の行動に、高市総理の本音が表れていると、受け取るのが自然です。

城内大臣留任が市場で注目

また、この2人の審議委員選定に関わったとみられる城内実経済財政担当大臣が、今回の内閣改造で、結局、留任したことも、市場では大きな注目を集めています。城内氏は、自民党内の積極財政派グループのリーダーを長らく務め、金融緩和と財政拡大、円安容認といった、いわゆる「リフレ政策」を信奉する政治家とされています。

このため市場関係者からは、今回の城内氏の留任を、ベッセント財務長官の政策修正要求に対する、高市総理の事実上の「ゼロ回答」と受け止める声も上がっています。こうした「受け止め」が広がれば、円安の修正や、長期金利上昇の抑制といった、市場のトレンド(方向感)に、影響を及ぼす懸念もあります。