避難情報から見える自治体の苦慮
気象庁が千葉県内の計22市町に発表した「レベル5大雨特別警報」や計25回発表した「記録的短時間大雨」から、「千葉豪雨」では記録的な大雨が広範囲かつ比較的長い時間にわたり降り続けたことが分かった。では、市町村が発令する避難情報からは何が読み取れるだろうか。
「レベル5大雨特別警報」が発表された22市町を対象に、特別警報発表や災害対策本部設置、避難情報発令の時刻を表-4にまとめた。
まず「レベル5特別警報」発表と災害対策本部設置の時刻を比較すると、本部を特別警報発表「前」に設置した自治体は9(約41%)で半数に満たなかった。一方、発表と「同時」が9(約41%)、発表「後」に設置が4(約18%)で、全体の6割近くが特別警報の発表を踏まえて急いで本部を立ち上げた様子が窺える。
次に、特別警報発表と、直ちに命を守る最善の行動をとるよう呼びかける「緊急安全確保」(レベル5)発令の時刻を比較すると、特別警報発表後に「緊急安全確保」(レベル5)を発令した自治体が最も多く15(約68%)、同時に発令した自治体は5(約23%)、発令しなかった自治体は2(約9%)あった。
筆者が注目したのは、「避難指示」(レベル4)を経ずに「緊急安全確保」を発令した自治体が5つ(約23%)あった点だ。例えば船橋市は、「レベル5大雨特別警報」が発表された13日午後7時30分の時点では「高齢者等避難」(レベル3)も「避難指示」も出しておらず、10分後の午後7時40分に急きょ「緊急安全確保」を発令した。
避難情報は警報や注意報の発表状況や災害発生の危険度の高まりに応じて「高齢者等避難」(レベル3)→「避難指示」(レベル4)→「緊急安全確保」(レベル5)と段階的に上がっていくのが一般的だが、状況が短時間で急激に悪化した「千葉豪雨」では、自治体がそうしたプロセスをたどれなかった可能性がある。

国が自治体に聞き取りを行ったところ、以下のような回答が得られたという。
・避難所が概ね開設してから避難指示を発令するのがルールだが、避難所に向かう自治体の車が渋滞にはまり開設に時間を要した
・すべての避難所の開設後に避難指示を発令する予定だったが、発令前に「レベル5大雨特別警報」が発表され、避難指示を発令できなかった
・「レベル5大雨特別警報」に伴う「緊急安全確保」の発令は、地域防災計画上でそもそも想定していない。
自治体もまた、想定を超える事態に直面し、避難情報を発令する判断やタイミングに苦慮した様子が窺える。
内閣府が自治体向けに作成した「避難情報に関するガイドライン」には、土砂災害では「レベル4土砂災害危険警報」が発表された場合に「避難指示」を、「レベル5土砂災害特別警報」が発表された場合に「緊急安全確保」を発令することが基準の一つとして例示されている。
ほかに河川氾濫や高潮についても同様の例が示されているが、実は内水氾濫の一部のケースにはそのような設定例がない。「千葉豪雨」を踏まえ、自治体の災害対応を支援する取り組みの検討も急務だろう。














