微妙だった「線状降水帯直前予測」

そして、もう一つの「気象防災速報(線状降水帯直前予測)」(以下、「線状降水帯直前予測」)も、期待される役割を十分に果たせたとは言えない。

「線状降水帯直前予測」は、新たな防災気象情報の運用開始に伴い5月に新設された情報で、今後3時間以内に線状降水帯が発生する危険性が高まった際に発表される。対象地域にいる人は今後の大雨によって外出などが困難・危険になるおそれがあるため、速やかに適切な防災行動をとってもらうことが狙いだ。しかし「千葉豪雨」ではどうだったか…。

気象庁は、線状降水帯により非常に激しい雨が同じ場所で実際に降り続いていると見なした場合に「気象防災速報(線状降水帯発生)」(以下、「線状降水帯発生」)を発表し、直ちに適切な防災行動をとるよう呼びかける。「千葉豪雨」では8月13日午後5時58分、千葉県の北西部と南部に最初の「線状降水帯発生」が発表されたが、その前に「線状降水帯直前予測」が発表されることはなかった。いわゆる“見逃し”だった(表-1)。

その後、「線状降水帯発生」は午後8時58分にも北西部・北東部・南部に発表されたのだが、このときは3つの区域に前もって「線状降水帯直前予測」が発表されていたため、的中した(表-2)。表-1と表-2からは、的中も捕捉も半数以下で、線状降水帯を正確に予測することの難しさが見て取れる。

ただし、特に「線状降水帯直前予測」の場合、たとえ結果的に線状降水帯の定義を満たす気象状況にならなくても、3時間降水量の最大値がいずれも150ミリから250ミリと紛れもない大雨になっているので、的中するかどうかにはあまりこだわらずに「災害を起こすような大雨になることを直前にかなり高い確度で知らせてくれる情報」と受け止めて防災行動に生かすのが望ましいだろう。