中国の不満とメンツの現れ
まさにビザ発給手数料の、日中間の“応酬”という感じですが、今回の「いきなりの大幅値上げ」の影響は限定的に思われます。と言うのも、観光旅行など滞在30日以内なら、中国を訪れる日本人に対しては引き続きビザ免除措置が有効、つまりノービザで中国に入れるからです。「観光旅行で1か月以上、中国に滞在する」という人は確かに多くはないでしょう。
日本政府が7月から日本入国ビザの手数料を大幅に値上げした際、私は「中国側には『世界第二の経済大国の中国国民に、日本入国ビザが必要なのか。現にアジアの多くの国は、日本へはノービザで入れるではないか』という不満が出そうだ」とお話ししました。
さらに言うと、「日本へ旅行し、たくさんお金を落としているでしょ」「日本は、観光を成長戦略の柱に据えて、ビジット・ジャパン・キャンペーンも派手にやってきたのではないの?」という思いです。今回適用される中国ビザの手数料引き上げは、まさにその通り、中国側の不満を形にしたものだと言えます。
中国からすれば「中国人に対しては『ようこそジャパン』ではないのですか」という思いがあるのでしょう。昨年秋以降、日中関係が冷え込み、中国政府は自国民に「日本は危ない」などさまざまな理由をつけて日本渡航を自粛するよう繰り返し求めてきました。一方で日本政府が7月に実施した日本入国ビザの手数料大幅値上げは、中国側から見れば、中国人をターゲットにしたように映ります。
観光旅行などで中国を訪れる日本人は、引き続きノービザで中国に入れます。そうなると、中国政府が日本人を対象に始めたビザ手数料の引き上げは、メンツの問題という側面もありそうです。習近平政権が、中国国民に向けた「我々もきちんと対抗措置を取ったぞ」、「今回なら相互主義を適用したぞ」というアピールの意味合いもあるのだろうと思います。














