「海外」や「日帰り」よりも「泊まりがけ」

最初に「どのような旅行がしたいか」という意識の推移を折れ線グラフで示しましたが、実は「どのような旅行をしたか」という行動の推移もデータがあります。

TBS生活DATAライブラリ定例全国調査では、「最近1年間にしたこと」について、あてはまるものをいくつでも選んでもらう質問を実施。その選択肢に「海外旅行」「1泊以上の旅行」「日帰り旅行(夜行日帰りを含む)」の3つもあり、データはやはり半世紀前の1975年から存在。ただし、93年はなぜかこの質問が行われず、そこだけデータが欠けています。

この「した旅行」の推移を点線で、最初に示した「したい旅行」のグラフに重ねてみると、次の折れ線グラフになりました。

すると、断トツで「したい」と憧れる海外旅行も、実際に行った割合は1割程度で、高くても90年代後半の2割弱がせいぜい。

一方、憧れ度2割程の日帰り旅行は実行率がはるかに高く、80年代後半には4割を超え、最盛期の90年代後半には5割弱まで到達。

その実行率をさらに上回るのが1泊以上の旅行で、80年代後半から00年代前半まで6割超えをキープしていました。

1泊以上の旅行、日帰り旅行、そこから離れて海外旅行という実行率の順はこの半世紀で変わらず。しかし、いずれも00年代あたりから数字が減少傾向にあり、20年代のコロナ禍にかなり大きな減少を記録。

本当は海外に行きたいけれど、おいそれと簡単に行けるものでもなし。憧れると言うほどのことでもない日帰り旅行も、80~90年代頃はそれなりに出かけていたのですが、最近はそれほど流行らない様子。

一方、泊まりがけの旅行は、00年代後半に6割を切り、20~21年はコロナ禍で激減したものの、基本的には5割の実行率を維持。これは、日帰り旅行でレジャーにつぎ込む意欲やお金、時間を小出しにするより、しっかり充実感を得られる泊まりがけの旅行につぎ込みたい、という姿勢の表れなのかも。

そうだとすると、やはりまとまった休みが取れる夏休みシーズンは、ここぞと気合いの入る絶好の旅行チャンス。しかし、今年は地震や大雨に見舞われてしまい、返す返すも残念でした。

今年の9月は21日(月)の敬老の日から23日(水)の秋分の日まで三連休、その前の土日も含めたら五連休。このシルバーウィークこそ、行きたいところに思い切って出掛けてみるのもいいかも知れませんね。

注1:TBS生活DATAライブラリ定例全国調査は、TBSテレビをキー局とするテレビの全国ネットワークJNN系列が、1970年代から毎年実施する大規模ライフスタイル調査です。同じ回答者にメディア行動や価値観、個人材・世帯財の購入などを総合的に調査するシングルソースデータです。

注2:外為法の正式名称は、1980年当時は「外国為替および外国貿易管理法」でしたが、98年に題名から「管理」が削除され、現在の「外国為替および外国貿易法」になりました。

注3:「1泊以上の旅行」や「日帰り旅行」の一部が「海外旅行」である可能性はあります。本コラムの後半で「最近1年間にしたこと」として3つの旅行を調べた結果を扱っていますが、25年調査では、1泊以上の旅行をした人(3,979人)の12%(462人)、日帰り旅行をした人(2,537人)の12%(297人)が海外旅行もしたと回答しています。裏を返すと、泊まりがけや日帰り旅行した人の9割弱は海外旅行をしていないので、ここでは「1泊以上の旅行」や「日帰り旅行」という回答のほとんどは国内旅行のことだと考えて、論を進めることにします。

引用・参考文献
●財務省 外為法の目的と変遷
● 「休日」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』2026年7月16日(木) 05:39 UTC
● 「アンノン族」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』2025年12月11日(木) 08:35 UTC

〈執筆者略歴〉
江利川 滋(えりかわ・しげる)
1968年生。1996年TBS入社。
視聴率データ分析や生活者調査に長く従事。テレビ営業も経験しつつ、現在は法務・コンプライアンス方面を主務に、マーケティング&データ戦略局も兼務。

【調査情報デジタル】
1958年創刊のTBSの情報誌「調査情報」を引き継いだデジタル版のWebマガジン(TBSメディア総研発行)。テレビ、メディア等に関する多彩な論考と情報を掲載。原則、毎週土曜日午前中に2本程度の記事を公開・配信している。