ビルから見える赤い炎 “生きるために”宙を舞う人々
ビル上部から赤い炎が上がり始めた。熱さに耐えかねてか、何人もの人が高層階の窓から飛び降りるのが見えた。目がくらむ高さである。
縄跳びのように空中で腕を回している人が多い。頭から落下しないように、せめてものバランスをとっているのか。
職場の仲間だろうか、何人かが手をつないで輪になって宙に舞う。しかし途中でビルの壁面に何度も叩きつけられた。カーテンのようなものをパラシュート代わりに勢いよく飛び出す人もいたが、一瞬風をはらんだあとは役に立たなかった。
彼らは死ぬために飛び降りたのではない。私の視界にあるうちは、空中でもがいていた。生きたかったのだ。
ツインタワーのうち向こう側の1棟が突然崩壊した。倒れたのではない。ザーッという音とともに、ビルの屋上が見る間に地面に近づいていく。「パンケーキクラッシュ(層崩壊)説」があるが、まさに積み重ねたパンケーキが間の支えを失って上の方から次々と沈み込んでいくようだった。
そしてタワービルの半分ほどまで崩れたときに、もうもうと煙がわき上がった。ものすごい煙だった。
それでも、自分に近いもう1棟が崩壊するとは思わなかった。近くにいた警察官らがペンタゴンにも旅客機が突っ込んだようだとささやき合う。現場が凍りつくのが分かった。














