「夫からは最初、質問攻めにあいました」(笑)

門司港近くの栄町銀天街にある「たまゆら館 アートと喫茶室」

宿野部さんは東京都出身。学生の頃からシェアハウスに住み、不動産関係の企業に就職をして資金を貯めては、国内や海外を旅してまわった。そんな宿野部さんの心をとらえたのが、北九州市の門司港レトロ地区だった。移住を決め、2025年、「栄町銀天街」にある居酒屋の2階と3階を借りた。現在、3階でシェアハウス「たまゆら荘」を、2階では「たまゆら珍館喫茶とアート」を運営している。

宿野部真央さん
「3階のシェアハウスには一切エロスなどアングラの要素はありません。住人と門司港エリアでランニングしたり、ゲストを招いてゴハン会をしたり…と超健全。私自身の志向は、カオスだけどちゃんとしているんです(笑)」

一方、2階の「喫茶とアート」にはエロスやオカルト関係の展示も。本格的に秘宝館を作りたいと思っていた矢先に、門司港1950団地と出会い2026年に「たまゆら珍館秘宝とオカルト室」を開館した。

宿野部真央さん
「夫からは最初、『なんでそういうのが好きなの』と質問攻めに遭いました(笑)。夫はアウトドア派で、趣味は全く異なります。でも『真央が幸せならばそれでいい』と応援してくれるんです。」

福岡市内で勤務する夫は、週末に北九州市門司港に通い、妻の仕事をサポートしている。栄町銀天街の店やシェアハウスのDIYも主に夫が担ってくれた。

落書きのようにも見える壁の絵は、門司港在住の画家・黒田征太郎さんが描いてくれたものだ。ここには、老若男女様々な人が集う。

宿野部さんは、「シェアハウスですから、国内外のアーティストさんを呼んで部屋に滞在してもらい、芸術活動の披露や支援をしたい」と話す。7月には台湾のアーティストが滞在しイベントを開催した。

宿野部真央さん
「夢は、日本一の秘宝館の館長になる事です!」

2024年の「北九州市観光動態調査」によると、門司港エリアを訪れた外国人観光客は238万人。北九州市では2番目に多い。宿野部さんはインバウンド客に熱い視線を注ぐ。

宿野部真央さん
「門司港にやって来る外国人に、日本のアングラ文化の魅力を伝えたいんです。まずは栄町銀天街のお店に来てもらって、興味を持ってもらえたら団地の秘宝館に行っていただく。門司港エリアを周遊してもらう事で、観光産業の発展にもつながりますから。」

個人の夢をかなえる、築75年の廃墟団地。将来、北九州市の観光産業に貢献し、再び街に活気を取り戻す救世主になりうるかもしれない。

RKB毎日放送 ディレクター 石川恵子