生成AI使用が疑われる作品は応募者本人に確認

世界中から募集するイラストレーションのコンテストとして、日本イラストレーション協会が主催しているのが「JIA Illustration Award」。実力があるものの日の目を見ていないイラストレーターの登竜門として2000年から毎年開催されている伝統あるコンテストで、今年で27回目を迎えた。グランプリの作品には賞金50万円と副賞が贈られ、プロ・アマ問わず誰でも応募が可能だ。

応募要項には「一部でもAIを使用した作品は不可」と記載されている。同協会の蟹江隆広会長によれば、記載を始めたのは生成AIが一般の人でも使えるようになった頃から。「一部でもAIを使用した作品は不可」としている理由については次のように答えた。

「それまでまともに絵を描いたこともないような人が、AIを使用することでたまたま素晴らしい絵を制作してしまったということが起こり得ます。このような現象は著しくこのコンペの趣旨に反するものであり、容認することはできません」

仮に応募要項に反して生成AIの使用が疑われる作品があった場合、見極める方法を準備しているのかどうかについても聞いた。すると、過去に疑われる作品があったときの対応について明かした。

「決定的な方法はありませんが、昨年のケースではまず審査員から『この作品はAIで作成させているものだ』という指摘があり、そのように思われる理由を精査しました。その上で、応募者本人に連絡して、『自分の作品が掲載されているサイトを教えて欲しい』と頼みました。

コンペで受賞できるほどの実力があるイラストレーターであれば、それまでに相当数の作品を制作しているに違いありません。『X』に作品が掲載されているということで、実際に確認しました。その結果、掲載されている作品が5〜6点と少なく、経歴も確認できなかったこともあり、本人に問い詰めたところ、『辞退します』との連絡がありました。

昨年のケースでは1人発見できましたが、ルールを無視して応募してくる人がいるとは思っていなかったので、もしかしたら見逃してしまった人がいるかもしれません」

蟹江会長によれば、今年のコンテストではさらに多くの作品について生成AIが使用されていないかどうかを精査した結果、複数の失格者が出たという。

「今年も審査員から1人疑惑が指摘されたので、全ての受賞作品を見直しました。応募者本人に連絡を取り、作品を掲載しているURLを教えてもらい、連絡が取れた人のサイトを確認して、これまでの作品と矛盾がないかというところを見て判断しました。作家名で検索してもサイトが見つからない人や、連絡してこない人はAIで作成した可能性が高いと判断して、賞から除外する方針で精査しました。その結果、合計で7人の受賞予定者が失格になりました」