AIが注目を集めだした当初、AIは人間を単純作業から解放するが、クリエイティブな分野は代替できないという言説があった。ところが日々進化する生成AIは、いまや、文学や音楽、イラスト、マンガ、そして映画と、あらゆるクリエイティブの制作現場で利用され始め、そしてかなりの水準の作品を生み出しつつある。それに伴って大きな影響を受け始めているのが、各種の公募による賞やコンテストだ。これまでは人間の創造力を競い合ってきたが、生成AIが介在して生まれた作品があふれ出したとき、賞やコンテストはどうなるのか?3回目は、アートやイラストのコンテストをめぐる現状についてお伝えする。

アート・イラストのコンテスト事務局は取材対応に慎重

この連載では、1回目は「俳句・川柳」、2回目は「小説」のコンテストにおける生成AIへの対応について、主催する事務局や編集部に取材し、現状を伝えてきた。今回取り上げるアートやイラストのコンテストについては、基本的には生成AIの使用を不可とするものが多い。

生成AIへの対応について、10のコンテスト事務局に取材を依頼したところ、正式に回答してくれたのは3つの事務局だけで、その他は回答を避けた。ただ、匿名を条件に現状の懸念を話してくれた事務局が複数あった。その中には記事の文脈を問わず、生成AIの活用に関してスポットを浴びることで、ネガティブな反響を受けることを懸念していると説明した事務局もある。

こうした対応からは、生成AIへの対応はアートやイラストのコンテストにとってデリケートな問題で、メディアに説明すること自体がリスクになりかねないと感じていることが窺える。

取材に対して寄せられた実名、匿名による回答から、アートやイラストのコンテストをめぐる現状についてみていきたい。