避難してきた子どもたちと、絵で向き合う
子どもたちと話す機会を作るために、2人は一緒に絵を描くワークショップをウクライナ国内や、子どもたちの避難先となっているヨーロッパの国で続けている。ロマニーシンさんは、家が爆撃の被害に遭い、キーウやリヴィウに移住してきた子どもたちのなかには、「大きな音を聞くと震えてしまうなど、戦争によるトラウマを抱えた子どもや、睡眠障害のある子もいる」と教えてくれた。絵具を使い始めると、緊張していた子どもたちも少しずつ心を開き、個人的な話をしてくれるという。
ワークショップは、気持ちを落ち着け、自分の思いを表現する場にもなっている。あるワークショップでは、2人が大きな紙に黒いペンで建物や植物のシルエットだけを描き、そこに子どもたちに色を使って住民や植物などを描いてもらい、一緒に町に命を吹き込む。ワークショップの最中に空襲警報が鳴ることもあるが、その場合は、すぐに避難し、シェルター内で子どもたちと一緒に絵を描き続けている。
戦争が終わる日に開けるワイン それでも「今」を生きる
「平和が戻ったら、何をしたいか」ーー。
アンドリーさんは「平和が戻った時に、どういう状況で私たちがどんな人たちになっているかはわからないから、答えるのは難しい」と率直に答える。そのうえで、「平和になるまで待つ必要もないし、いつ戦争が終わるかわからないから予定を立てることもできない」と語る。そのため、アイデアが浮かんだら、すぐに実現するようにしているという。
そんな2人には、戦争が終わった日に開けようと、大切に取っておいているワインがある。2022年産のウクライナのワインだ。 ただ、ロマニーシンさんは「今はその日がいつ来るのか、どんな形で来るのか、ますますわからなくなってきた」と複雑な表情を浮かべた。戦争が終わった日に開けるワインを手元に置きながらも、2人が今大切にしているのは、いつ来るかわからない未来を待つことではなく、今日を生きることだ。
「今は生き延びること、大切な人を守ることが何より大事です」














