愛媛県久万高原町にある全校児童わずか2人の小学校。その児童2人は今年3月に卒業を控えていて、4月から学校は休校する予定です。「思い出を形に」と地域の人たちが考えた2人へのプレゼントとは?

久万高原町立柳谷小学校。山々に囲まれた自然豊かなこちらの学び舎で学校生活を送っているのは6年生の山本海人くんと鎌腰亜美さんです。
全校児童は山本くんと鎌腰さんの2人のみ。担任の吉本先生との3人だけの教室です。
山本くん「面白いし、7年間一緒にいるので、すごく楽に話せるかな」
鎌腰さん「本当に気を使わなく話せる。心がわかるで良い友達」
幼稚園に通っていた頃を含めると7年間を一緒に過ごしてきた山本くんと鎌腰さん。休み時間は、いつも吉本先生や校長先生と一緒に全力で体を動かします。
山本くん「家みたいにみんなと仲良くできるし、先生方ともたくさん遊んだりできるし楽しい場所」
鎌腰さん「家と同じようにいつも自然体でいられる場所」

ともに柳谷小学校を「家」のようだと話す2人。給食の時間もまるで、家族との団らんのひとときのようです。
吉本先生「2人の良いところが全然違うので、ものすごくかみ合ってる。めちゃくちゃ良いコンビです。さすが7年間コンビを組んでいる」
2人にとって小学校はかけがえのない場所。しかし…
過疎化と高齢化が進む久万高原町。昨年度4人の児童が町外の学校に転校したため、全校児童が山本くんと鎌腰さんの2人だけになりました。
そして今年3月に2人が卒業すると、児童の数はとうとうゼロに。柳谷幼稚園に通う園児1人が来年4月に入学する見込みではあるものの、今年4月からの1年間は休校になる予定です。

週末、2人は松山市内の音楽スタジオに招かれました。
2人が柳谷小学校で過ごした思い出や証を形にできないかと、保護者や地域の住民が思いついたのは“ある歌”の収録でした。
柳谷の風景などを歌った「柳谷の風」。手がけたのは双子のミュージシャン「VOICE」です。およそ20年前、合併前の旧柳谷村で開かれた音楽イベントに合わせ制作されました。

最初は少し固い表情だった山本くんと鎌腰さんでしたが、和やかなレコーディングの雰囲気に次第に緊張もほぐれていきます。
そして、迎えたレコーディング本番。
「♪柳谷の風の風が吹く 永遠という夢を乗せて 柳谷の未来へと この想い この歌よ届け」

山本くん「こんな経験は初めてだったし何だか爽快感があった」
鎌腰さん「かいちゃん(山本くん)が今までとはまた違って凄く楽しそうに歌っていて良かった」
今回収録された曲のCDは学校へ贈られるほか、地元のイベントなどでの活用を想定しているということです。
思い出がたくさん詰まった柳谷小学校で過ごすのは、あと2カ月ほど。

山本くん「先生や地域の人と最後まで楽しみたい」
鎌腰さん「これから休校になってしまうけど『柳谷の風』がいろいろな場所に広まって柳谷がもっと人が増えて元気になればいいな」