2023年の通常国会が召集され、施政方針演説に臨んだ岸田総理。焦点は“少子化対策”と“防衛費の増額”ですが、財源や増税について、総理の説明は?

“脱マスク”企業のいま 総理も国会で“ノーマスク”

屋内でのマスク着用が、見直しへ向け検討される中…。

喜入友浩キャスター
「こちらのオフィスではマスクを外して、作業をされてる方が結構いらっしゃいますね。表情が良く見えます」

都内にあるIT大手の本社オフィス。2022年9月、職場の“脱マスク”に踏み切りました。パーティションのある部屋に限り、マスク着用を個人の自由としたのです。

ーーマスクを外しての作業はどうですか?

女性社員
「息苦しい感じもなく、対面でのコミュニケーションをとりやすい。表情もわかりやすいので作業の効率も上がって、すごく良い」

男性社員
「また元の生活に戻れたのかなとささやかですが感じる」

今では、マスクを外す社員が約6割に上っているといいます。

一方で、マスク着用の社員の中には、こんな事情も…。
  
女性社員
「家庭内全員感染したことがあったが、私が他の人にうつさないようにといったところもあって、着けるようにしていることが多い」

1月23日に開会した通常国会。

岸田総理は、マスクなしで演説に臨みました。

岸田 文雄 総理
「原則、この春に新型コロナを『新型インフルエンザ等』から外し、5類感染症とする方向で議論を進めます」

またマスク着用についても感染症法上の5類への見直しと併せて、考え方を整理していきたいとしました。

最重要の“少子化対策” 「予算倍増」も財源は…

歯止めがかからない少子化。2022年の出生数は、過去最低の80万人を割る見込みです。

「少子化対策」を「最重要政策」と位置付けている総理は…。

岸田総理
「まずは私自身、全国各地でこども・子育ての当事者であるお父さん、お母さん、子育てサービスの現場の方、若い世代の方々の意見を徹底的にお伺いするところから始めます。従来とは“次元の異なる”少子化対策を実現したいと思う」

これまで“異次元”としてきた少子化対策を1月23日は、“次元の異なる”という言葉で表現。

具体策として、大学生などを対象に卒業後の所得に応じた返済ができる「出世払い型の奨学金制度」を導入するとしました。

さらに…

「6月の骨太方針までに、将来的なこども・子育て予算倍増に向けた大枠を提示する」

予算の倍増だけは決まっていますが、財源は示されませんでした。  
総理が“声を聞きたい”とした子育て世代は…。

20代 子ども1人の親「(2人目を)増やすほど余裕がない。産んだ後の方がお金がかかるので産むだけではないので、その先を考えたら厳しいかなって」

20代 子ども1人の親「私も仕事をしたいというところもある。保育園の整備でも補助でもなんでもいいのでやっていただきたい」

“賃上げ”どこまで?中小企業「上げられない」理由

1月23日から始まった春闘。

連合 芳野友子会長
「コロナ禍と物価高に、多くの国民が苦しい思いをしています」

焦点は物価高を超える賃上げです。連合は5%程度の賃上げを要求…。

サントリーHD 新浪剛史社長「5%を超えて6%(目指す)」

日本生命 筒井義信 会長「明確になっているのは7%」

▼2023年の賃上げを表明した企業
 ・サントリーHD:約6%↑
 ・日本生命:約7%↑
 ・アサヒビール:約5%↑
 ・ファーストリテイリング:数~約40%↑

大企業は相次いで賃上げを表明していますが中小企業からは…。

小倉メリヤス製造所 小倉 大典 社長
「賃上げしたいです。賃上げしたいんですけど、上げたいけど上げられないっていう状況です」

子ども服などの縫製を手がける会社。生地やボタンなどの材料費が、5000万円ほど上昇し利益を圧迫。価格転嫁もしきれていません。

ある信用金庫の調査では「賃上げの予定はない」と答えた中小企業は72.8%にのぼりました。
 
岸田総理
「中小企業における賃上げ実現に向け、生産性向上、下請け取引の適正化、価格転嫁の促進、さらにはフリーランスの取引適正化といった対策も一層強化します」

大幅増の“防衛費”でも「増税」には言及せず

今後5年間の防衛費を43兆円とし、大幅増額を決めた岸田総理。

岸田総理
「約1兆円強については国民の税制でご協力をお願いしなければならない」

岸田総理は財源確保するため“防衛増税”を閣議決定しています。
しかし、1月23日の施政方針演説では“増税”の言葉を使いませんでした。

岸田総理「将来世代に先送りすることなく、いまを生きる我々が将来世代への責任として対応していまいります」