高利貸しの借金と家族の生活…「帰れ」の一言が与える絶望的

彼女たち4人とも「ミャンマーに帰す」という言葉が一番つらかったと口々に訴える。見下されているという悔しさとともに、彼女たちが背負っているものの重さとを通訳のユーさんは代弁した。

スマートフォン越しに通訳するユーさんの話を聞く熊谷七海記者(左)(8月5日)

「彼女たちはミャンマーにいる家族を背負って日本に来ている。一緒に背負っているのは借金です。日本に来るために、たくさんの借金を抱えているのですが、親戚から借りられればいいのですが、無理な場合、ミャンマーでは銀行から借りられず闇金しかありません。その利子はとても高いです。ミャンマーにいる家族は、自分たちが仕送りしないとご飯を食べられず生活に困ります。ミャンマーに帰れない事情があるのに『今すぐ荷物を用意して帰れ』と追い出そうとする、在留カードやパスポートを取り上げるといってプレッシャーをかける。住んでいる場所から追い出そうとする、不安にさせる。自分たちはいつ追い出されるかわからない。ここを追い出されたら家族に仕送りできない、生活できない。『ミャンマーに帰れ』というのは、そういったたくさんのプレッシャーを一瞬で与えられるような言い方です」(通訳のユーさん)

カビの生えた炊飯器、鍵の壊れた玄関…常に恐怖に怯えた寮生活

ミャンマー人たちが暮らす寮は、一軒家を借り上げたものだ。

その一つは農業法人から歩いて10分ほどのところにある古びた2階建てだ。壁の塗装は剥がれ、外観からも老朽化した建物であることが分かる。

寮の割れた窓ガラス(ミャンマー人女性提供)

「これから皆さんが住む場所はところはとてもきれいなとこだから、皆さんが家を出るときも、きれいに返さないといけない」と言われていたが、家の中に入った時、唖然としたという。

「室内に炊飯器があったんですけど、中のごはんにカビが生えていました。トイレは紙が詰まってて、使うことができない状態でした。炊飯器、トイレ、バスタブ、全部自分たちで掃除しました」

寮の狭い部屋(ミャンマー人女性提供)

だが、彼女たちを苦しめたのは建物の古さや汚さ、部屋の狭さだけではない。

「家の玄関の鍵は壊れていました。各部屋も一応扉はあるものの閉まらない状態です。鍵がかからない状態で住まないといけなくて、常に気を張って暮らさなくてはならない。(農業法人を運営する)親子がいつ寮に来るかわからない、いつ怒られるか、いつ触られるか、いつ蹴られるか、いつたたかれるか分からない」

収穫する農作物の大きさをめぐって、父親と長男で指示の内容が違い、怒鳴られることもしばしばあったという。彼女たちにしてみれば、常に怒鳴られ、いつ暴力やセクハラに遭うかわからない日々だった。

Cさん(20)
「その悪い言葉を常に浴びせようと考えてるようにしか思えない」
Bさん(22)
「とにかく何が正解なのかわかんないのが一番つらいことだった」