一大農業地帯・京極町で不可欠な「特定技能」の外国人労働者

日本百名山にも数えられる羊蹄山。その山麓はミネラル豊富な伏流水と激しい寒暖差、肥沃な土に恵まれ、特にジャガイモやユリ根、ニンジンなど北海道を代表する一大農業地帯だ。

豊富な栄養価から「野菜の王様」として2026年度から農林水産省の「指定野菜」に追加されたブロッコリー。京極町のブロッコリーは濃い緑色で、花のつぼみが隙間なくぎっしりと締まっているのが特徴だ。

収穫のピークを迎える夏、畑では特定技能として働くミャンマー人たちがブロッコリーをハサミで手際よく切り取っている。外国人労働者は観光産業や高齢者施設だけでなく、農業でも欠かせない存在だ。

ブロッコリーの収穫作業をする特定技能のミャンマー人(8月14日・北海道京極町)

京極町にある農業法人M社は、ミャンマー人を中心に特定技能の外国人を多く雇用している。

現場を仕切っているのは、町議会議員も務める60代の父親、40代の長男と次男の3人だ。父親は、長男を「社長」、次男を「専務」と呼ばせていた。だがミャンマー人たちは父親も長男も「社長」と呼んでいた。

「金属製の棒でたたかれた」現場を仕切る町議・父親からの暴行とセクハラ

ミャンマー人女性Aさん(33)によると、最初の暴力はM社で働き始めた数日後に起きたという。

畑で働く特定技能の外国人労働者(ミャンマー人女性提供)

「山で支柱にロープを結ぶ作業をしていたとき、父親から『ひもを離せ』と言われたのですが、言葉を理解できなかったという理由で、後ろから金属製の棒で2回たたかれました」

Aさんが私たちに見せたのは、父親がたたいた棒と同じような形状のものだ。

「人生で一度も手を上げられたことがないし、突然たたかれたので、私は泣きました」

翌日以降も父親は「この苗はどうやって結んだんだ」などと怒鳴り、何度もAさんを厳しく責め立てた。時には別のミャンマー人が行った作業をAさんがやったと勘違いしたこともあったという。そして、怒鳴りながらAさんの尻をたたいたり、胸を指で突っついたりした。

「胸を触られ、お尻をたたかれたことだけでなく、やっていないことを一方的に責められたことが悔しくて一日中泣いていました」

Aさんは、時折涙を浮かべながらも話し続けた。

セクハラ行為を記者に実演してみせるAさん(8月5日)