1月23日から始まる通常国会の直前に、自民党と立憲民主党の幹部が相次いで大阪入りする異例の事態となっている。両党の視線の先にあるのは、野党第2党である日本維新の会。いったい何が起きているのか。
工事現場と国会内共闘

「やっぱり風は強いね。夏は良いかもしれないね(立憲・安住国対委員長)」
1月20日。立憲民主党の岡田幹事長と安住国対委員長は、大阪府内の海沿いに立地する工事現場に降り立った。そこは、2025年に開幕が予定されている大阪・関西万博の会場予定地。開幕に向け、急ピッチで工事が進められていた。
「ここまで来たらぜひ、成功してもらいたいと思っている。しっかり後押しできるならしていきたい(岡田幹事長)」
立憲幹部の万博予定地視察は、万博の成功を悲願とする維新から、通常国会でのさらなる協力を引き出す狙いがあるのは明らかだ。大阪視察に先立つ1月18日、立憲と維新は通常国会での共闘を継続し、関係を深めることで合意した。
「黄金の3年間の中で、ともすれば全く国民の声を聞こうとしない政権運営になりかねない中で、そこに対して野党が力を合わせて与党の政策の修正を促すというのは極めて重要(立憲・泉代表)」
「我々が目指してきた国会のあるべき姿である“与党と野党が常に緊張感を持った政治”に一歩近づいた(維新・馬場代表)」
立憲が維新との共闘にこだわるワケ

ただ、党の根幹に関わる憲法や安全保障政策について相容れない維新へますます接近していくことには、立憲内にもまだ一部で戸惑いの声も残る。
それは他の野党も同様で、共産党の小池書記局長は会見で、「(立憲が)維新との共闘、協力関係を強めていくということになれば、我が党と立憲民主党との関係にも深刻な影響が出てくる」と懸念を示した。
それでも立憲執行部は、維新との共闘継続にこだわった。
安住氏の持論は、自民党の1強が続く国会で、「しっかりとした論戦をやっていくには、野党の塊は絶対必要」。前回、安住氏が国対委員長を務めた際も、国民民主党と共同会派を組み、政府・与党に対して攻勢を強めた。維新との共闘はその再来とも言える。
一方で、維新との共闘関係を臨時国会よりもさらに深めたのには、この分断をもくろむ自民党から維新をつなぎ止める狙いもある。