愛知県のIGアリーナで行われた7月の大相撲名古屋場所は、左足の負傷を抱えたまま出場した関脇安青錦(22)が不屈の闘志で3場所ぶり3度目の優勝を飾った。12勝3敗で並んだ大関霧島(30)、関脇熱海富士(23)との優勝決定ともえ戦に快勝。カド番だった5月の夏場所を全休して大関から転落したが、直後の場所での2桁勝利で9月の秋場所は大関に戻る。1969年からのこの制度での大関復帰は過去6人(栃東は2度)いるが、優勝で決めたのは7人目の安青錦が初めてだ。
心揺さぶられる、大興奮の千秋楽だった。1人2敗で臨んだ15日目の土俵。勝てば、すんなり優勝の相手は3敗で追う熱海富士。過去の対戦成績は3勝1敗。今年初場所の優勝決定戦でも勝っていたが、本割では197kgの巨体に屈した。得意の左前まわしに手が届かず、圧力を受けてそのまま一気に押し出されてしまった。直後の大関対決で霧島が琴桜(28)を破り、3人が横一線に並んだ。
足を引きずりながら支度部屋に戻る姿は悲壮感が漂った。疲労も積み重なる千秋楽。けが人には酷に見えた。だが、ここからが安青錦の真骨頂だった。決定戦に入る前にはその顔にまた闘志がみなぎる。口癖のように話す言葉がある。「悔いがないように」。勝負の結果よりも、己の持つ力を出し切ることに全力を傾ける。その潔さが彼の最大の魅力だ。そして、それがまた決定戦で披露された。
3人の場合に行うともえ戦は大相撲独特の優勝決定方式だ。連続して2勝した力士が優勝になる。もしも、誰も連勝出来なかった場合は、2巡目、3巡目と誰かが2勝するまで続く。くじの結果、安青錦は最初が控えで、先に対戦した2人の勝者との顔合わせとなった。そして霧島を破った熱海富士とこの日2度目となる対戦を迎えた。














