JR松山駅とその周辺で進められている高架事業で設計に誤りが見つかりました。これにより線路の高架への切り替えが半年ほど遅れ、来年秋ごろになる見通しです。
山田祐也アナウンサーリポート
「今回ミスが判明した現場の1つです。高架化に伴い線路を支えるために作られた橋脚なんですが、本来とは違う場所に建っていたということです」


松山駅とその周辺で進められている線路の高架化事業。工事の設計に誤りが見つかったのは、駅の南側で工事が進められている2つの架道橋です。

このうち、三番町架道橋では、設計時に橋脚の基礎となる杭の座標を誤り、橋脚を西側に50センチ、別の橋脚を東側に80センチずれた位置に構築してしまったということです。現在、橋脚の一部を撤去し再構築しています。
また、千舟町架道橋では、設計時に橋桁の重みによるたわみの計算を間違え、橋桁を誤った寸法で製作したということです。そのため、工場で橋桁を直す作業を行いました。

JR四国 工務部工事課 宇野匡和担当課長(会見)
「コンクリートを打設する時にどんどん自重でたわんでいくんですけど、設計の時に入力値を誤って入れていまして、過大に入れていたのでたわみが過少に出てきた」

およそ2.4キロの区間の高架化を目指し進められている工事は、7つの工区のうち3つの工区で高架橋本体が完成していますが、今回のミスによって線路の高架への切り替えは半年ほど遅れ、来年秋ごろになる見通しです。
JR四国 工務部工事課 宇野匡和担当課長(会見)
「地域住民の方々、また鉄道を利用しているお客様が待っていた高架切り替え時期を見直すことになったことを大変重く受け止めています」
高架への切り替えが遅れることで新しい駅舎の開業時期にも影響が出るということです。
2つの架道橋の設計ミスは、去年8月に測量などで発覚し、JR四国は翌月、県に報告したということです。公表までおよそ5か月かかった理由について、担当者は…
JR四国 工務部工事課 宇野匡和担当課長(会見)
「全体の工程も調整して、この程度遅れるというのがはっきり分かった時点での公表ということで今の時期になったということです」

高架化の遅れを受け駅周辺の住民は…。
「けっこうみなさん便利になると期待しているとはよく聞きますけど、楽しみにしていたので早くできたらいいなとは思いますけれど…」
一方、地元の町内会長で駅のすぐ側でビジネスホテルを営む泉一郎さんは…。
松山駅周辺でホテル経営 泉一郎さん(町内会長)
「今初めて聞きましたので大変驚いていますね。地元関係者のみなさんには早く伝えていただきたいなと思いますね」
泉さんのホテルでは、駅周辺が生まれ変わることによる観光客の増加などを見越し、3年前に新たな宿泊棟を建設。客室を40室増やしました。
泉一郎さん
「集客度が上がるのが我々が期待しているところなんですけどね」
しかし、事業の度重なる遅れによる影響を懸念しているといいます。
泉一郎さん
「目算が違ってくるなという感じがしております。もうこれ以上、高架化が延期になることがないようにですね、計画通り一刻も早く進めていただきたいと思っております」

JR松山駅の高架事業は、当初、2017年のえひめ国体までの完成が目標とされていましたが、県の財政難を受け断念。その後、2009年2月に着工しましたが、用地の取得が難航し2020年の完成予定から大幅に遅れています。