そのA4サイズの手紙には、びっしりと感謝の文字が並んでいた。
最後に記された日付は「11月吉日」。

そこからさかのぼること約4か月、夏の参院選では落選したものの、地元への熱い思いは衰えることなく、その文面からはさらに前に進もうという意欲が見て取れた。しかし…

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去年12月21日、がん性腹膜炎のため60歳の若さで亡くなったタレントの高見知佳さん。突然の死から1か月が経った。

2022年夏の参院選では立憲民主党の推薦を受けて無所属で出馬。自民党のベテラン議員に敗れはしたが、“タレント”から一転、“政治家”の道を歩もうとしていた。

そして去年11月、高見さんは参院選支援のお礼と今後について、支援者らに、胸の内を手紙にしたためていた。

7月の参議院選挙では大変お世話になりました。私の急な立候補に対して、演説会場や各集会に足をお運びいただき、本当にありがとうございました。今の政治の世界に、「困っている人、弱い立場の人たち、声を上げたくても上げられない人、そんな人たちの声を届けたい」、「自分も経験してきた、子育てや介護の制度をもっと充実させたい」(中略)、そんな気持ちで一生懸命訴えましたが、私の力不足もあり、結果はかないませんでした。

支援者に対する感謝から始まっていた手紙。
そして12行目からは、今後の決意にも思いを馳せていた。

(中略)今後のことを考えていました。選挙に敗れたとはいえ、愛媛県内で17万票あまり、新居浜市だけでも2万票弱もの得票をいただき、その事に対して、お応えをしなければならないのではないかと考えました。
(中略)
熟慮の結果、来春4月に行われる予定の「新居浜市議会議員選挙」に挑戦することを決意しました。参議院選挙を通じて訴えたことを、地方から住民目線で発信すること。参議院選挙で知り合った国、県、市町の議員さんと連携していく事。特にまだまだ数少ない女性議員を増やすための一助になりたい。そのような事を実現させていきたい、と決意をしました。

高見さんが支援者らに渡した文章。そして最後はこう締めくくられていた。

これから寒さに向かいます。お身体十分ご自愛ください。
令和4年 11月吉日

この手紙を出したわずか50日後に、高見さんは帰らぬ人となった。