民宿で食べたカレーで客12人が、ウエルシュ菌による集団食中毒です。一夜明けて、カレーを調理した状況が明らかになってきました。
「大きい鍋でカレーを作り、寸胴鍋に移して、熱を取ってから冷やしていた…」ということですが、そこには調理の落とし穴が…。
さらに「火を通せば大丈夫だというところがこの菌には通用しない」専門家が語る意外な“盲点”、ウエルシュ菌から身を守る術を取材しました。

記者:「こちらの民宿のカレーを食べた人が食中毒になったことを受けて宿は現在営業停止になっています」

富山県射水市の民宿「青山・有磯亭」で今月12日、前日の夕食でカレーを食べた宿泊客12人が食中毒の症状を訴えました。

原因となったのは「ウエルシュ菌」でしたが、報道から一夜明けて民宿の関係者の取材で食中毒に至る状況が明らかになってきました。

民宿の関係者によりますと、カレーライスは人気商品の1つでしたが、これまで食中毒はなかったといいます。食中毒が起きる前夜、「大きい鍋でカレーを作り、寸胴鍋に移して、熱を取ってから冷やしていた」といいます。

民宿は「食中毒になった方々の1日も早い回復を祈っています」としつつ、カレーはメニューから外すとしていますが、なぜ食中毒が発生してしまったのでしょうか?


富山県衛生研究所 大石和徳所長:
「熱を加えても死なない菌なんですね。そこが盲点かもしれない。火を通せば大丈夫だというところがこの菌には通用しないところがある」

富山県衛生研究所の大石和徳所長は、細菌による食中毒など感染症に詳しい専門家です。ウエルシュ菌は100度で4時間熱しても死滅しない熱に強い菌だと言います。

富山県衛生研究所 大石和徳所長:
「(食中毒菌の1つ)カンピロバクターや腸管出血性大腸菌は熱を加えると死んでしまう菌です。しかし、ウエルシュ菌は熱にすごく耐性であって、あるタイミングで増えることで毒素が出てきてそれが病気を起こす“毒素性”の食中毒です」
食中毒には“毒素性”と“感染性”の2つがあるといいます。

富山県衛生研究所 大石和徳所長:
「食中毒には2つ種類があって、サルモネラ菌とかカンピロバクターは“感染性”の胃腸炎、つまり菌が増えることで炎症を起こします。普通は“好気性菌”と言って酸素を必要として増えます。ウエルシュ菌は“毒素性”で“嫌気性菌”という酸素を必要としない細菌で、組織の中に入って、ケガをしたときなんかも強い炎症を起こすこともあります」


どんな条件で増殖し、食中毒を引き起こすのでしょうか?