流した涙・絶対的キャプテンが取った行動とは
転機は、藤本監督が3年生だけを集めたミーティングのあとの夜だった。寮の自由時間、新村は再び3年生全員を招集した。集められた仲間たちは「なぜ呼ばれたのか分からない」と首を傾げていた。
もともと「人を頼ることができない性格」と自らを表する主将。
その新村が、涙ながらに口にしたのは、誰も予想だにしなかった一言だった。
「助けてほしい。3年生の力が必要なんだ」
その言葉に、同期の誰もが息を呑んだ。エースの德丸凛空は当時を振り返り、こう証言する。「瑠聖が『助けて』なんて口にしたことは一度もなかった。驚いたと同時に、自分たちがすべてを背負わせてしまっていたんだと気づかされた。3年生全員でチームを引っ張らないといけないと強く感じた」
人を頼ることは弱さではない。
一人で背負う重荷を、3年生全員で「共に背負う」と決めた瞬間、真の『ALL崇徳』の魂が宿ったのだ。
夏を前に久々にグラウンドで再会した新村の表情は、別人のようだった。
キャプテンとしての威厳はそのままに、「こんにちは!ご無沙汰しています」と爽やかな笑顔を見せる。そこには重圧を分かち合い、強固な絆を手に入れた一人の高校球児の姿があった。














