ウクライナが切望しながらも西側が躊躇している戦車と戦闘機。そのうち戦車について大きな動きがあった。イギリス政府が主力戦車の供給を検討していることが分かった。これが実現した場合、ウクライナ戦争にどんな影響があるのか。占拠された地域を奪還するのに不可欠と言われてきた戦車戦がいよいよ始まるのか・・・。ウクライナ戦争の新たな局面を議論した。
ウクライナの橋は50トンまでしか耐えられない…英の戦車は70トン。
ウクライナに供給が決まっている装甲車両といえば機関砲を装備した『歩兵装甲車』と、前線に兵を送る『装甲兵員輸送車』だけだった。そこに今回のイギリス主力戦車『チャレンジャー2』の供給が決まるとどんなことが起こるのか・・・。

東京大学先端科学研究センター 小泉悠 専任講師
「いわゆる装甲戦闘車両。装甲を貼ってあって戦う能力を持った車両。その中で一番強いのが戦車ですよね」
『装甲兵員輸送車』は兵士の運搬がメインで、攻撃能力は機銃くらい。これはかなり早い段階から供給されてきた。攻撃力は高くない。
『歩兵装甲車』は第二次大戦の頃はなかった新しいコンセプト。ソ連が考え出したもので、歩兵と戦車が一緒に行動する形。走行性能は速くて、ある程度の攻撃力も持つ。対戦車ミサイルも搭載していて、戦車と装甲車を足して二で割ったような存在。使い勝手が良く各国似たようなものを生産している。これは今年になって供給が決まった。そして、今回ついに戦車となった。
東京大学先端科学研究センター 小泉悠 専任講師
「徐々に強力なものに支援をシフトさせている。これまでは“ここまで送ったらロシアが怒って何するかわかんないんじゃないか”って遠慮があったわけですが、少しずつ様子を見ながら援助のレベルを上げていると見るべき」

ウクライナが待ち続けた西側の戦車がいよいよ供給されるわけだが、受け取る側にも手放しで喜べない事情があった。
元ウクライナ軍参謀本部報道官 ウラジスラフ・セレズニョフ氏
「英国のチャレンジャー2という戦車は、70トンを超えるが、ウクライナの殆どの橋は50トンまでしか耐えられない。橋が戦車の通行に耐えられるかという重要な問題を検討し解決しないといけない」
戦車の重量に関しては小泉氏も元自衛官の渡部悦和氏も大きく頷いた。
元陸上自衛隊 東部方面総監 渡部悦和氏
「イギリスのチャレンジャー2は60トン以上あるのは事実です。ドイツのレオパルトは50トン台です。そして自衛隊は90式戦車で50トン越えたんですよ。その時にこの橋の問題にぶつかったんです。それで(現在主力の)10式戦車は40トン台に落としたんです」

東京大学先端科学研究センター 小泉悠 専任講師
「チャレンジャー2は重すぎだと思うんです。以前サハリンに行ったとき、元将軍だったっていう人から“サハリンの橋は50トンまでしか通れないから、もし日本が90戦車で攻めてきても通れないぞ”って言われた。軍人って必ず自分のとこの戦車がどの橋なら通れるって気にしてる。つまり(川渡れないと)作戦がもの凄く限られちゃうんですよ」

















