「必ずこのメールは削除してください」
3人に対して行われた被告人質問。
町の産業建設部長(当時)のO被告(当時)は、動機について弁護士から問われると「入札を円滑に進めたかった」「地元業者との関係を良好にしたかった」と述べた。
また、町内の業者が談合をしていたことについては「薄々気付いてはいたが、法を守る意識が麻痺していた」とした上で「町の信頼を落としてしまった。町民らに迷惑を掛けて損害を与えた。謝罪したい」と語った。
検察官から、入札の価格に関する情報を役場内で不正に入手していたことについて問われると、「認識不足だった」「最初は罪悪感があったので、メールで送信する際には『必ずこのメールは削除してください』と書いた」「自分が甘かった」などと回答。
また、他の町で起こった入札妨害事件で職員が逮捕されるニュースを見るたびに「怖いなと思ったが、政権(町長)が変わって感覚が麻痺していた」と振り返った。
さらに裁判官からの問い掛けには「必要悪という気持ちもあった」「親分肌で、業者にいい顔をしたかった」などと答えた。
「まともに入札なら、どちらかが潰れていた」
地元建設会社Yの元役員・N被告(当時)に行われた被告人質問。
検察官から事件についての受け止めを聞かれると「昔からの慣習で、ここまでのことになるとは思わなかった」と話し、町内業者の暗黙の了解があったとした。さらに「もし、まともな入札が行われていた場合、どちらかが潰れていた」との見解も述べた。
「いけないことをした認識はあるか」との問いには「確かにそうです」「法律ではそうなっています」と答えた上で「関係者や町民に合わす顔がない」と、反省の色をのぞかせた。
「30年くらい前から慣習化…自分はまさか」
地元建設会社Xの元役員・M被告(当時)も質問に答えた。
弁護士からの問い掛けに対して「30年くらい前から慣習化していて、関わっていた」「悪いとは思ったが、楽な方に行ってしまった」「ニュースを見て怖いと思ってはいたが『自分はまさか』と思った」と述べた。
桟橋工事の落札については「負けたくなかった、どうしても受注したかった」「後でばれる可能性は考えたが、頭が真っ白になっていた」と、当時の心境を語った。
同僚職員に働き掛けて秘密文書入手
事件について検察側は、入札の公正さを害した程度は極めて大きく、自社に有利に落札したかったことや、業者にいい顔をしてうまく付き合いたかったとした動機に触れ「犯行の動機や経緯に酌量の余地はない」と指摘。地元建設会社Xの元役員・M被告(当時)と地元建設会社Yの元役員・N被告(当時)に、それぞれ懲役1年を求刑。
町の産業建設部長(当時)のO被告(当時)については、長年「同僚職員に働き掛けて(工事価格に関する)秘密文書を入手し」漏らしていたとして、懲役1年6か月を求刑した。
裁判は即日結審し、判決は2月9日に言い渡される。
(2024年10月20日 匿名に修正しました)