冷静な対処と国際社会の理解
中国メディアの尖閣諸島同乗ルポに戻りましょう。長文のルポは、最後にこうまとめられています。
「高市政権は尖閣をめぐる緊張を絶えず煽ることで、防衛費の増額や反撃能力の整備が正当だと主張できるようになる」
中国が最近、日本に対して多用する表現に「新型軍国主義」という言葉があります。つまり、「尖閣諸島一帯こそ、日本が『新型軍国主義』の推進を目論む現場だ」と主張しているのです。当然、この尖閣ルポを読んだ中国の人々の多くは記事を信じ、愛国心を燃やし反日感情を募らせるでしょう。それは「習近平指導部の対日政策は正しい」という、中国国民向けのシナリオにも沿うものです。
尖閣の海は、実際の波以上に情報戦のうねりが高まっています。しかし、我々は中国側の意図的な情報発信にいきり立つことなく、冷静に対処することが大切ではないでしょうか。何より、中国のこうしたやり方は国際社会もよく理解しています。「どちらが正しいのか」も含めて、しっかりと見極められているはずです。
◎飯田和郎(いいだ・かずお)

1960年生まれ。毎日新聞社で記者生活をスタートし佐賀、福岡両県での勤務を経て外信部へ。北京に計2回7年間、台北に3年間、特派員として駐在した。RKB毎日放送移籍後は報道局長、解説委員長などを歴任した。2025年4月から福岡女子大学副理事長を務める。














