尖閣の歴史と、ルポが描く「日中の攻防」

記事の中身に触れる前に、尖閣諸島についておさらいしておきましょう。尖閣の島々の総面積は約5.6平方キロで、みずほPayPayドーム約50個分の広さです。日本最南端の沖縄県与那国島から北へ約150キロに位置し、行政区は石垣市に属します。

明治政府が1895年に日本領土に編入した日本固有の領土ですが、中国や台湾は1970年代以降、周辺海域で石油資源埋蔵の可能性が指摘された後に領有権を主張し始めました。さらに、日本政府が2012年に尖閣諸島を国有化したことで、中国の反発は一層激しさを増しています。

そんな尖閣諸島の警備を巡る中国国営メディアのルポは、日中間の「緊張の海」について、こんな書き出しで始まります。

「日本の海上保安庁の船舶による執拗な妨害や挑発行為を、記者は目撃した。日本側は、長時間にわたる追尾、急加速による接近、拡声器を使った警告といった戦術を用い、絶えず騒ぎを起こして意図的に緊張を煽っていた」

そして、こうも決めつけています。

「緊張の要因は、中国による正当な権益擁護によるものではない。日本側の一方的な挑発行為に端を発する。中国の活動の最前線から報告し、日本側が用いる嫌がらせの手口を明らかにする」

海岸から12海里(約22キロ)が領海となりますが、海上保安庁によると、日本の尖閣諸島の領海に中国海警局の船は今年1~6月の上半期だけで延べ36隻が侵入しています。海上保安庁の巡視船は中国船に対し、領海から出るように、あるいは侵入しないように警告を発し追い払いますが、中国側はそれを「日本の嫌がらせ」としているわけです。

さらに、接続水域(領海の外側の24海里)で繰り広げられる日中の巡視船同士の“攻防”を、ルポはこう描写しています。

「中国海警局の船に対し、左舷後方を追尾していた日本の巡視船が突然速度を上げた。そして進路を妨害しようと、中国側の船の船首を鋭く横切るような動きを見せた。こうした挑発的な動きに対し、中国船は即座に加速。針路を維持し、日本の巡視船に隙を与えなかった」