中国国営メディアが報じた「同行ルポ」の真意

日本と中国が主権をめぐって対立する沖縄県の尖閣諸島。今回は、この尖閣諸島をめぐる問題を取り上げ、日本が最近「認知戦」と称して警戒を強めている中国の宣伝戦略について解説します。

先週、中国の国営メディアの一つで国際情報を扱う新聞「環球時報」のニュースサイトに、ある記事が掲載されました。その見出しを日本語に翻訳すると、このようになります。

「釣魚島周辺でパトロールする我国の艦船に同行ルポ」 「目撃 日本の妨害行為に立ち向かう中国海警局の合法的活動」

「釣魚島」とは尖閣諸島の中国語の呼称です。尖閣諸島は主に5つの島で構成され、最大の島が日本名で魚釣島ですが、中国側はそれを釣魚島と称しています。

この見出しからも分かるように、尖閣諸島周辺で活動する中国の海警局(沿岸警備隊)の船に、環球時報の記者が同乗してルポを書いたというわけです。

日本で尖閣諸島を含む先島諸島海域の警備を担当するのは、沖縄県那覇市に本部を置く海上保安庁第11管区海上保安本部です。記事や映像が報道されると中国側を刺激することにつながる恐れがあるため、日本の海上保安庁はメディアの同行取材を認めていません。一方の中国当局は、管理下にある国営メディアに同行取材を認め、大々的に報道させました。当局が意図した「宣伝」。これが今回の話のポイントです。